2018年11月01日

『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』お薦め映画

★★★★★ 2017年製作 米 (92 min)
【監督】デヴィッド・ロウリー(ピートと秘密の友達)
【出演者】
ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー、キラー・インサイド・ミー、ジェシー・ジェームズの暗殺、トリプル9 裏切りのコード)
ルーニー・マーラ(ドラゴン・タトゥーの女、キャロル、ローズの秘密の頁(ページ)、LION/ライオン 25年目のただいま)
【あらすじ】田舎町の小さな一軒家で若い夫婦のCとMは幸せな毎日を送っていたが、夫Cは交通事故で死亡してしまう。 妻Mが夫Cの死亡を確認し病院を去った後、夫Cはシーツを被った状態で起き上がり、そのまま自宅まで戻ってきた。 妻Mは夫Cの存在には気が付かないが、ゴースト(幽霊)となった夫Cは、悲しみに暮れる妻Mを見守り続ける…。 ラブ・ファンタジー。


『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』象のロケット
『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』作品を観た感想TB

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ghost1.jpg 【解説と感想】 人は死んだらどうなるのか? 三途の川で呼び戻されたと言う人もいるけれど、ほとんどの死者は蘇生しないので、正確なことは分からない。微生物に分解されて元素に戻る、星になる、永遠の眠りにつく、天国や地獄に行く、家族の元に霊としてとどまる、別の生物に何度でも生まれ変わる…等、その人の人生観や宗教観、科学的見解や願望によって、考え方は多岐に渡り決して結論は出ない。私自身は、死んだらぐっすり眠りたいと思っているが、日頃の行いが悪いから地獄へ落ちてしまうだろうか?

ghost2.jpg 本作はタイトル通り、ゴースト(幽霊)のお話。田舎の小さな一軒家で若い夫婦が幸せに暮らしていたが、夫Cは交通事故死する。しかし彼はシーツを被ったまま起き上がり、自宅へ戻って来た。ゴースト(幽霊)となった夫Cは妻Mをずっと見守り続け、妻Mはそのことに全く気付かない。

ghost3.jpg 派手さはなく静かな物語だが、グイグイ引き込まれ涙する場面も多かった。本作の主人公は、ハンサムな夫C(ケイシー・アフレック)や美しい妻M(ルーニー・マーラ)ではなく、白いシーツを被ったゴースト。見かけも行動も全然怖くなくて、無表情な顔はむしろユーモラス。シンプルなキャラクター、押しつけがましさのない死生観、見たことのないストーリー展開、美しい色づかい、同じ場所で時間だけが過ぎていくタイムトラベル感など、様々な要素に惹き付けられた。ゴースト自身の戸惑いと悲しみが伝わって来て、胸が締め付けられる。特に、向かいの家のゴーストが、窓越しにゴースト=Cに向かって放つ一言は衝撃的だ。ゴーストがいることを知らずに喋り続ける名もない男性住民の言葉は、非常に示唆に富んでいる。

ghost4.jpg 夫Cを亡くした後も生きていかなければならない妻Mと違い、死んでしまった夫Cの人生に未来はない。あるのは死ぬ前の人間としての過去と、ゴーストとしての現在だけ。特定の人だけが成仏できずゴーストになるのか? 死んだら皆ゴーストになってしまうのか? ゴーストはどれくらいの期間この世に留まるのか?…等、様々な疑問が沸き上がる。人の死には、最初の生物的な死と、自分を覚えてくれている人がいなくなるという2度目の死があるとよく言われる。この孤独なシーツ被りゴーストは、完全なる死を迎えられるのだろうか。

死んだら全て終わりかもしれない。でももし、ゴーストとなって長い時間この世に留まっていられるとしたら…? 言葉を失ってしまうほど切なく悲しいラブ・ファンタジー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
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『ヴェノム』お薦め映画

★★★★ 2018年製作 米 (112 min)
【監督】ルーベン・フライシャー(L.A. ギャング ストーリー、ゾンビランド、ピザボーイ 史上最凶のご注文
【出演者】
トム・ハーディー(マッドマックス 怒りのデス・ロード、レヴェナント 蘇えりし者、オン・ザ・ハイウェイ その夜 86分、チャイルド44 森に消えた子供たち)
ミシェル・ウィリアムズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー、ランド・オブ・プレンティ、マリリン 7日間の恋、テイク・ディス・ワルツ)
リズ・アーメッド(ナイトクローラー、ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー)
スコット・ヘイズ、リード・スコット
【あらすじ】アメリカの男性ジャーナリスト、エディ・ブロックは、人体実験で死者を出しているという噂のライフ財団に突撃取材したせいで会社をクビになり、恋人アンとも別れることに。 それでも財団の研究所に潜入したエディは、スーパーパワーを持つ“シンビオート(地球外生命体)”に寄生されてしまう。 恐ろしい意志を持つ生命体はエディと一体化し、「俺たちは−ヴェノムだ。」と名乗りを上げる…。 SFアクション。

『ヴェノム』象のロケット
『ヴェノム』作品を観た感想TB

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venom1.jpg 【解説と感想】 正義のヒーロー「スパイダーマン」最大の宿敵は、悪のヒーロー「ヴェノム」。有名キャラらしいが、私はヴェノムのことをよく知らない。だが、本作は「ヴェノム」の誕生を描いているので、知らなくても全然大丈夫だった。アメコミ界のヒーローがまた1人、全世界デビューを果たす。

“シンビオート”とは、スーパーパワーを持つ寄生型地球外生命体の全体を指す名称で、人体を喰らったり寄生したりして人類を破滅させ、やがては地球を乗っ取ってしまいそうな、人類にとっては敵となる邪悪な生命体。そして、人類の個々に太郎や花子のような名前が付いているように、“ヴェノム”とは“シンビオート” の中の1体の名前である。シンビオートの何体かがライフ財団の宇宙船で地球に持ち込まれ、財団は秘かにシンビオートを人体に寄生させる残酷な実験を繰り返していた。財団には、人類を地球外でも暮らせるような身体に改造しようという目的があった。

主人公エディ・ブロック(トム・ハーディ)は、アメリカの男性ジャーナリスト。彼はライフ財団のカリスマ青年社長カールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)の悪い噂を聞き、突撃取材したせいで会社をクビになる。同棲していたライフ財団顧問弁護士の恋人アン・ウェイング(ミシェル・ウィリアムズ)からは愛想を尽かされ、部屋を追い出された。それでもライフ財団に潜入したエディは、ヴェノムに寄生されてしまう。まさに踏んだり蹴ったりだが、エディの表情には「まあ、何とかなるさ」的な楽天性と人の好さが漂っている。

venom2.jpg ヴェノムの全体的な体形はスパイダーマンに似ているが、デカい白目は粘液で潤み、デカい口には長い牙のような歯があり、長〜い舌と気持ちの悪い蜘蛛の糸が飛び出す、一度見たら忘れられない恐ろしい形相の怪物だ。普段は人間エディの身体の中にヴェノムがいるが、変身するとヴェノムの中にエディがいることになってしまう。つまり、1人の心身に善と悪、弱さと強さ、人間の姿と恐ろしい容姿が混在している。ヴェノムには驚異的な身体能力があるが、何かに寄生しないと生きられない。ヴェノムの方は寄生してみて(DNA的な?)相性の良さを感じ、エディを最適な宿主と見込んだ。エディの方は寄生されるのはまっぴらゴメンだったのだが、次第にヴェノムのスーパーパワーを使うのが快感になっていく。果たして彼らは、真の相棒になれるのか…?

venom3.jpg シンビオートが人間を襲うグロテスクなシーンもある。「マーベル史上、最も残虐な悪(ダークヒーロー)」「悪役(スーパーヴィラン)」と言われているだけに、ヴェノムとはとんでもなく凶悪で嫌な奴なんだろうと最初は思ってしまうが、ヴェノムの中の「悪」はエディの中の「善」の影響を受けていく。エディとの掛け合いは軽快で面白く、案外いい奴なのかもしれないと思わせるが、果たしてどうなるのやら…。

一方、元彼女アンとエディとの関係は完全に終わりではなさそうだし、アンの新しい彼氏の医者ダン(リード・スコット)も気さくな性格で笑わせてくれる。ヴェノムの半端ない暴走と、相反するお茶目な行動も見どころ。この1作で終わるはずがないので、新しいマーベルキャラクター「ヴェノム」の今後の活躍と変化に期待したい。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



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2018年10月04日

『スカイライン -奪還-』お薦め映画

★★★★ 2017年製作 英・中・カナダ・インドネシア・シンガポール・米 (106 min)
【監督】 リアム・オドネル
【出演者】
フランク・グリロ(パージ:大統領令、パージ:アナーキー、THE GREY (ザ・グレイ)、エンド・オブ・ウォッチ)
ボヤナ・ノヴァコヴィッチ(デビル、アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル)
ジョニー・ウエストン(マーヴェリックス 波に魅せられた男たち、WE ARE YOUR FRIENDS、96時間/レクイエム)
イコ・ウワイス、ヤヤン・ルヒアン
【あらすじ】 ロサンゼルス警察の刑事マークは、息子トレントを追い宇宙船に吸い込まれる。 そこでマークを助けたのは、人間の心を残したままエイリアンになった男ジャロッドだった。 内戦が続くラオスに墜落した宇宙船から、生まれたばかりのジャロッドの娘と共に脱出したマークは、反政府組織リーダーの男スアのアジトに身を寄せる…。 SFアクション第2弾。

『スカイライン -奪還-』象のロケット
『スカイライン -奪還-』作品を観た感想TB

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bskyline1.jpg 【解説と感想】 映画の続編は、前作の内容を忘れた頃にやって来る! だが、観客は前作で抱いたおぼろげなイメージを頼りに劇場へ行く。2作目のハードルは高い。2作目で打ち切りになるか、3作目、4作目が作られるかは2作目の内容と評判次第だ。弊社はユーザーに極度の先入観を与えないため、「ネタバレなし」に加え「悪口なし」をモットーとしている。「面白かった」というコメントはほぼ信用されないが、「つまらなかった」という感想は結構信用する人がいるからだ。しかし、もう公開から7年も経っているのだから時効だろう。正直言って、1作目「征服」はつまらなかった。ところが、2作目の本作「奪還」はとっても面白かったのだ! 私は終了後に思わず拍手したくなった!

bskyline2.jpg本作「奪還」の主人公・刑事マークを演じているのは、こちらもスマッシュヒットしたアメリカのサスペンス・ホラー映画「パージ」シリーズの「パージ:アナーキー」「パージ 大統領令」で主演(警官役)したフランク・グリロ。リーアム・ニーソンをちょっぴり若くしたような、正義感あふれる強くて頼れるオッサンだ。マークの息子トレント(ジョニー・ウェストン)と、なぜか美人で腕っぷしも強い地下鉄運転手オードリー(ボヤナ・ノヴァコヴィッチ)が吸い込まれた宇宙船は、どういうわけかラオスに不時着し、彼らはそこで反政府組織のボス、スア(イコ・ウワイス)らと遭遇する。イコ・ウワイスは、2011年製作のインドネシア・アクション映画「ザ・レイド」「ザ・レイド GOKUDO」で主演(警官役)し、華麗な伝統武術シラットを披露し人気となった。同じくこの2作品に出演しているアクション俳優ヤヤン・ルヒアンも登場し、2人は得意の格闘技を駆使してエイリアンと戦う。

bskyline3.jpg 「パージ」と「ザ・レイド」のシリーズそれぞれの役柄と本作のキャラが被っているのが、逆に面白くて笑ってしまう。前作に漂っていた「どこかで見た」感を更に押し出しているのに、全く「あざとさ」を感じさせない。面白いからいいじゃないのと納得してしまう。前作では「強い軍隊」も役に立たず、人類は「征服」されるがままで救いがなかった。しかし、本作では、一般人がエイリアンに「反撃」を開始し、地球「奪還」を目指す。不思議な青い光を放つ宇宙船や、不気味に強いエイリアンの最新VFX映像も見事で、視覚的にも満足できる。アメリカ映画では何かというとすぐ拳銃や軍隊が出てくるが、一般男女が銃だけでなく短剣や素手でも果敢に応戦する姿は見ていて気持ちがいいし、応援したくなる。

bskyline4.jpg さて、3作目への意欲もありありな終わり方で、ここまでくれば次はターミネーターやミュータントが登場しても決して驚かない。どう転がっていくかが今から楽しみな、こだわりのB級SFアクション。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 14:38| 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月13日

『プーと大人になった僕』お薦め映画

★★★★ 2018年製作 米 (110 min)
【監督】 マーク・フォースター(007/慰めの報酬、主人公は僕だった、ネバーランド、ステイ)
【出演者】
ユアン・マクレガー(トレインスポッティング、アイランド、スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃、ベルベット・ゴールドマイン)
ヘイリー・アトウェル(ウディ・アレンの夢と犯罪、キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー、ある公爵夫人の生涯、キャプテン・アメリカ ウインター・ソルジャー)
マーク・ゲイティス(SHERLOCK シャーロック 忌まわしき花嫁)
オリヴァー・フォード・デイヴィス、ブロンテ・カーマイケル、(声)ジム・カミングス、ブラッド・ギャレッド、他
【あらすじ】 イギリス・ロンドン。 大人になったクリストファー・ロビンは会社で管理職となり、妻イヴリンや娘マデリンと休日を過ごす時間もないほど多忙な毎日を送っていた。 仕事にも家族との関係にも悩むロビンが公園のベンチで頭を抱えていると、自分を呼ぶ聞き覚えのある声がする。 振り向くとそこには、かつての親友くまのプーがいた…。 ファンタジック・コメディ。 ≪それは風船より大切?≫

『プーと大人になった僕』象のロケット
『プーと大人になった僕』作品を観た感想TB

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pooh1.jpg 【解説と感想】 イギリスの作家アラン・アレクサンダー・ミルン(1882〜1956:スコットランド人)が1926年以降に出版(挿絵は画家アーネスト・ハワード・シェパード(1879〜1976)が担当)した『くまのプーさん』シリーズは、今も世界中の子どもたちに読まれている人気児童文学だ。「100エーカーの森」で、幼い男の子クリストファー・ロビンは、はちみつが大好きなクマのプー、森一番の物知りフクロウのオウル、ネクラなロバのイーヨー、怖がり屋の子豚ピグレット、優しいカンガルーのママ・カンガと子どものルー、やんちゃなトラのティガー、お利口さんのウサギのラビットらと友達になり、毎日「なにもしない」で楽しく遊ぶ日々を送っていた。しかし、男の子は学校へ行く年齢となり、森の仲間たちとお別れする日がやって来る…。

本作は、少年が仲間と別れ、長い時間が経った後から始まる。大人になったクリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー、日本語版吹替:堺雅人)は現在、イギリスの首都ロンドンで中間管理職として、多忙な毎日を送っている会社員。美しい妻イヴリン(ヘイリー・アトウェル)、幼い娘マデリン(ブロンテ・カーマイケル)とゆっくり話したり、ご近所付き合いをする時間もない。

pooh2.jpg もうすぐ親元を離れ寄宿学校へ進学する娘と一緒に過ごす最後の夏だというのに、彼は週末に別荘へ行く約束より仕事を優先し、家庭内はギクシャクしてしまう。そんな彼の前に、突然プーが現れた! プーは別れた時のまんまで、相変わらず「ねえ、一緒に遊ぼう。」と、のんきに誘ってくる。今の彼には、プーなんかに構っているヒマはない。世話の焼けるプーを100エーカーの森まで送り届けても、彼は仕事の書類が入ったカバンを決して手放さない。プーは訳が分からず「仕事って、赤い風船より大事なの?」 とつぶやく。愛想のないつまらん男になったクリストファー・ロビンを見ているうちに、悲しくて涙が出てきた。自分も彼と同じではないかと。

娘マデリンは物分かりがいいが、本当はパパと一緒に遊びたいはず。仕事人間のクリストファー・ロビンも、かつては子どもだった。元気に森を駆けまわり、プーと同じ目線で物事を考えていた。でも、そんなことはすっかり忘れてしまっている。今の彼には守るべき妻子があり、そのためにも仕事で結果を出すことが求められているのだ。妻子には多少我慢してもらわなければならない。わかっちゃいるけど、愛しているけど、妻や子どもを構っている時間がない! 働き盛りって、辛い。そんなパパの複雑な愛は、家族になかなか伝わらないのである。

pooh3.jpg 本作は実写版。100エーカーの森はのどかで美しく、森の仲間たちも、絵本やアニメの世界から抜け出したようなぬいぐるみのモフモフ感で、森にもロンドンの街にも溶け込んでいる。娘マデリンと森の仲間たちが、大好きなパパ、クリストファー・ロビンのために奔走する、ほのぼのとしたストーリーだ。

お父さん方は多少ほろ苦い思いをされるかもしれない。
男女問わず忙しさに紛れ忘れていたことを思い出させてくれるファンタジック・コメディ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 11:53| 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『響 HIBIKI』お薦め映画

★★★★ 2018年製作 日 (106 min)
【監督】月川翔(センセイ君主、君の膵臓をたべたい、となりの怪物くん、黒崎くんの言いなりになんてならない)
【出演者】
平手友梨奈
北川景子(スマホを落としただけなのに、Dear Friends ディア フレンズ、パンク侍、斬られて候、花のあと)
アヤカ・ウィルソン(パコと魔法の絵本)
高嶋政伸、柳楽優弥、北村有起哉、野間口徹
【あらすじ】活字離れが急速に進み、出版不況の文学界。 そこに現れた15歳の天才少女「鮎喰響(あくいひびき)」の才気あふれる小説は、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。 編集者・花井ふみとの出会いを経て、一躍脚光を浴びる響。 だが、彼女の歯に衣着せぬ物言いや、常軌を逸した行動は、世間の非難を浴びることに…。 ヒューマンドラマ。
原作:柳本光晴『響 小説家になる方法』

『響 HIBIKI』象のロケット
『響 HIBIKI』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2018映画「響 HIBIKI」製作委員会(c)柳本光晴/小学館

hibiki1.jpg 【解説と感想】 才能って枯れるのだろうか? 何の才能もない私には経験がないので想像するだけだが、音楽家、画家、作家、陶芸家などクリエイティブな仕事をしている人の場合、一つの作品で脚光を浴びても、同じクオリティーのものが次も作れるとは限らない。スポーツ選手のように、芸術家が現役を引退して解説者になることはあまりない。納得できない作品を出し続けることは不本意だろうが、簡単にやめられない事情もある。第一線で華々しい創作活動をしている人は大変だ…。

近年、本や雑誌が売れず出版業界は困っている。新聞・テレビで宣伝したり、映画やドラマになれば原作本がそこそこ売れる。話題の人の自伝や暴露本が売れる。魅力的なハウツー本が売れる。しかし、地味な純文学はあまり売れない。インターネットの普及で、無料で読める文芸作品や、ブログもたくさんある。文芸誌なんて、私も何年も買っていない。本作はそんな出版不況の今、15歳という若さで出版界に彗星のごとく現れたシンデレラ・ガールの物語である。

主人公・鮎喰 響(あくい ひびき)を演じる平手友梨奈は、2015年に結成された女性アイドルグループ「欅坂46」のメンバーで17歳。センターを務めるだけあって、映画初出演とは思えない存在感を放っている。17歳で主演女優というのは、15歳の作家と同じくらいスゴい。彼女が今後、どんな女優になっていくのか楽しみだ。

響は昔ながらの文学少女だが、何事にも「妥協」できないトラブルメーカー。黙っていれば可愛いのに、感じたままをズバッと言う毒舌家で、よく言えば頑なで純な少女らしさを感じさせる。更に彼女はつい手や足が出てしまう暴力娘でもある。もちろん相手の方が悪いのだが、昨今は問答無用で暴力は不祥事になる時代だから、女性編集者・花井ふみ(北川景子)は後始末に奔走することになってしまう。

響の傑出した才能は、響の文芸部仲間・凛夏(アヤカ・ウィルソン)、先輩作家(柳楽優弥、北村有起哉、小栗旬)らに衝撃を与えた。響は謙遜も卑下もせず堂々としていて、惰性で駄作を書き続ける作家を許さない。「一生に一度の傑作」を書いた後も人生は続くから、近作を「つまらない」とハッキリ言われた先輩作家は辛いだろう。たとえ既に自身でそう感じていたとしてもだ。今後、響を納得させるだけの作品を、再び書けるか否かは分からない。しかし、15歳の少女・響が放つ辛辣な言葉は、彼らの気持ちを確実に変えていくのである。

出版業界や賞レースの舞台裏と、敵わない才能を目にした人々の葛藤を背景に、世に出るべくして出た女子高生作家の青春を描くヒューマンドラマ。お薦め作品だ

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 11:03| 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする