2014年08月01日

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』お薦め映画

★★★★★ 2014年製作 米 (131 min)
【監督】マット・リーヴス(モールス、クローバーフィールド/HAKAISHA、ハッピィブルー)
【出演者】
アンディ・サーキス(猿の惑星:創世記(ジェネシス)、キング・コング、タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密、アレックス・ライダー)
ジェイソン・クラーク(ゼロ・ダーク・サーティ、ホワイトハウス・ダウン、華麗なるギャツビー、パブリック・エネミーズ)
ゲイリー・オールドマン(ドラキュラ、裏切りのサーカス、シド・アンド・ナンシー、エアフォース・ワン)
ケリー・ラッセル、コディ・スミット=マクフィー、トビー・ケベル、ジュディ・グリアー
【あらすじ】天性のリーダーシップで2000頭の猿を統率するシーザーは、サンフランシスコ郊外の森の奥深くに、巨大なコミュニティを築き上げていた。 一方、10年前に世界的に拡散したウイルスの影響で人類の大半は死滅しており、免疫を持つわずかな生存者たちが、荒廃したサンフランシスコ都市部で共同生活を送っていた。 互いの存在を忘れつつあった人間と猿は森で遭遇し、互いにパニックに陥ってしまう…。 SFスリラー。

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』象のロケット
『猿の惑星:新世紀(ライジング)』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Twentieth Century Fox All rights reserved.

dawnapes1.jpg 【解説と感想】人間が高度な知能を持つ猿に支配される前代未聞の世界観を描いたSF映画の傑作『猿の惑星』(1968年製作)。元祖『ゴジラ』(1954年製作)同様、今見てもオリジナルの素晴らしさに恐れ入ってしまう名作である。また、何度続編が作られても面白いのがすごい。本作は、なぜ人類の文明は崩壊し、猿が支配者になったのかという大きな謎、「猿の惑星」の起源に迫る新シリーズの第2弾だ。

前作で、サンフランシスコの製薬会社ジェネシスの研究所に勤める若き神経科学者ウィル(ジェームズ・フランコ)と、彼が可愛がって育てた高知能猿シーザー(アンディ・サーキス)は、悲しくも袂を分かつことになってしまった。(今回ウィルの登場は写真のみ。)

dawnapes2.jpg 本作は、それから10年後のサンフランシスコが舞台。猿は郊外の森で、人間は廃墟となった市街地で、それぞれが互いの存在を知らずに暮らしている。知らぬが仏の平和的共存だったが、偶然顔を合わせた時の両者の驚きと言ったら、互いに声も出ない有り様。戦争は不安と恐怖から始まる。最近の緊迫した政治状況が思い浮かぶ。

猿のオスは狩りをし、メスは子育てをする。簡単な言葉を話し、住居は樹木で作った素朴なもので、ほぼ旧石器時代の原人の生活に等しい。ここから人類が文明を持った現代人になるまでには100万年以上かかったが、この猿たちの場合、知能が高いので、あっという間に現代人に追いつきそうだ。もっとも、猿らしい一面もあり、ボス猿シーザーの頭と腕っぷしの強さに、2000匹のサルが絶対服従している。時には反抗的なオスをブッ飛ばすことも、ボスの強さをアピールするためには必要なのだ。

dawnapes3.jpg 前作より使われている、俳優の動きを取り込む撮影技術も更に進化。今回は木々が生い茂る森に3Dカメラ、モーション・キャプチャー・カメラを設置し、50人の役者が猿として森をうろつく姿を撮影したという。表情や動きがリアルで、猿それぞれの顔が違う。特にシーザーはハンサムで、強烈なカリスマオーラが漂っている。残念ながら、シーザーの妻コーネリア(ジュディ・グリア)は、美女には見えなかった。シーザーの片腕のコバ(トビー・ケベル)ときたら、悪の親玉のような人(猿?)相。俳優と猿のルックスは、必ずしも一致しているわけではないらしい。この最先端技術を駆使した映像と、練りに練られたストーリーのお蔭で、猿がしゃべっても、馬に乗っても、銃を構えても、現実味を帯びた物語として受け止めることができる。

人(猿?)格者のシーザーは、人間との外交交渉にも硬軟使い分けた政治手腕を発揮する。一方、生き残ったわずかな人類を率いるリーダー、ドレイファス(ゲイリー・オールドマン)には、最初から猿を殺す発想しかない。リーダーのレベルからして、既に人類は猿に負けている。ああ、情けない!

電力不足解消のため、人間が森の古いダムを訪れたせいで、サルとヒトは望まぬ再会を果たした。現代人は、電力なしでは生活が成り立たない。戦いも武器に頼るしかない。裸では暮らせない。不便な生活への不満が蓄積し元気がない。身一つでも森で暮らせる猿とは大違いで、文明に毒された私たち人間が哀れに思えてくる。

シーザーと、彼と心を通わせる人間マルコム(ジェイソン・クラーク)は、猿と人間の平和的共存を願っている。しかし、人間と猿の一部の者たちが暴走し、今にも両者の戦争が始まろうとしている。勢いのある「これからの猿」と、落ち目の「終わりつつある人間」は、もう戦うしかないのだろうか? 好奇心を掻き立てるSFスリラー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
posted by 象のロケット at 22:50| Comment(0) | TrackBack(10) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする