2014年09月12日

『るろうに剣心 伝説の最期編』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 日 (135 min)
【監督】大友啓史(るろうに剣心 京都大火編、映画 ハゲタカ、プラチナデータ、るろうに剣心)
【出演者】
佐藤健(るろうに剣心 京都大火編、カノジョは嘘を愛しすぎてる、るろうに剣心、劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事)
武井咲(クローバー、るろうに剣心 京都大火編、今日、恋をはじめます、るろうに剣心)
藤原竜也(るろうに剣心 京都大火編、DEATH NOTE デスノート、バトル・ロワイアル、DEATH NOTE デスノート the Last name)
福山雅治、江口洋介、伊勢谷友介、青木崇高

【あらすじ】浜辺に打ち上げられた剣心を助けたのは、師匠・比古清十郎だった。 今の自分では志々雄を倒せないと悟った剣心は、飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)の奥義伝授を清十郎に懇願する。 一方、剣心が生きていることを知った志々雄は、黒船から攻撃を仕掛け、政府に剣心の公開処刑を要求する…。 剣客アクション・ロマン。

原作:和月伸宏『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(コミック)

『るろうに剣心 伝説の最期編』象のロケット
『るろうに剣心 伝説の最期編』作品を観た感想TB

画像(C)和月伸宏/集英社 (c)2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

rurou1.jpg 【解説と感想】明治初期の東京。主人公・緋村剣心:ひむらけんしん(佐藤健)は、“人斬り抜刀斎(ばっとうさい)”と呼ばれた、討幕派の元暗殺者。まだ若いのに、この世の終わりのような顔をしている。彼の周りにいる、女道場主・薫(武井咲)、喧嘩屋・左之助(青木崇高)、女医・恵(蒼井優)らも、維新後の生き方を模索中の若者たちだ。

rurou2.jpg 剣心の敵となるのは、剣心と同じく維新に貢献した元暗殺者の志々雄真実:ししおまこと(藤原竜也)。彼は自分を使い捨てにした明治政府への復讐を誓い、なぜか軍艦まで持っている。この時期、暴動や政府転覆を志した者は多いが、実行に移した者は少なかった。

一方、うまく新時代に対応したのが、警官になった元新撰組・斎藤(江口洋介)、旅館を営む元御庭番の翁(田中泯)らで、彼らは新しい居場所を見つけたが、翁の元部下・蒼紫:あおし(伊勢谷友介)だけが、時代を受け入れられず、剣心を狙っている。

9月20日公開の『柘榴坂の仇討(ざくろざかのあだうち)』も、明治の世に適応できないでいる元武士たちの物語だ。武家の長男は、代々同じ藩(会社)に仕える。問題は多々あったにせよ、安定していたサラリーマン武家社会がガラリと変わったのが、廃藩置県で幕藩体制が終わった明治だった。路頭に迷う下級武士たちの姿が、終身雇用制や年功序列制が崩壊し、ハローワークへ通う中高年の姿と重なって見えてくる。

rurou5.jpg ところで、注目されているのが、本作のアクションシーンである。アクション監督の谷垣健治氏はジャッキー・チェンに憧れて香港へ渡った人物だという。殺陣のシーンが、従来の時代劇とはかなり違う。剣心は、目にも止まらぬ速さで走り、高速回転し、飛び跳ねるが、鼻につくわざとらしいCGアクションとは全然違う。あり得ない動きをリアルに見せてくれるので、爽快感があって、カッコイイ。

rurou3.jpg コミックが原作の「るろうに剣心」シリーズは、若者を中心に大人気だ。主役をはじめ、人気若手俳優が多数登場するし、なかなか進展しない剣心と薫の恋の行方も気になる。何より、世相を絡めたストーリーがテンポよく進み、コミカルな場面もちゃんとあって、長編なのに飽きさせない。剣心の顔アップも心憎い演出だ。これが21世紀の新しい時代劇、新しい殺陣なのかもしれない。

rurou4.jpg もはや自分が生きる時代ではないと思っていた剣心だったが、師匠の比古清十郎(福山雅治)の元で、もう一度修行をやり直す。人を斬れない逆刃刀(さかばとう)で、武士の世にとどめを刺すべく最後の戦いに挑むのだ。剣豪・剣心がそこまで準備しなければ戦えない相手・志々雄との真剣勝負に、否が応でも期待が高まる。しかしだ、終盤の大立ち回りは、宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の決闘」のような勝負ではない。ここは、好き嫌いが分かれると思う。私はそこに、建前を重視する武士の世の終焉と、手段を選ばぬ「勝てば官軍」の世の到来を感じてしまった。今後、「るろうに」効果で、時代劇はどんどん変わっていくことだろう。

様々な時代の転換期を、日本はちゃんと乗り越えてきた。この先、世の中のしくみがどう変わろうと、私たちはきっと生きていける。そんな希望を感じさせてくれる、お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
 
posted by 象のロケット at 20:49| Comment(0) | TrackBack(11) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする