2015年03月01日

『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』お薦め映画

★★★★★ 2014年製作 米・英 (115 min)
【監督】モルテン・ティルドゥム
【出演者】
ベネディクト・カンバーバッチ(それでも夜は明ける、スター・トレック イントゥ・ダークネス、アメイジング・グレイス、裏切りのサーカス)
キーラ・ナイトレイ(はじまりのうた、つぐない、プライドと偏見、ある公爵夫人の生涯)
マシュー・グード(イノセント・ガーデン、敬愛なるベートーヴェン、マッチポイント、シングルマン)
マーク・ストロング、チャールズ・ダンス、アレン・リーチ、マシュー・ビアード
【あらすじ】1939年、第二次世界大戦開戦直後のイギリス。 27歳の数学者アラン・チューリング、チェスチャンピオンのヒュー・アレグザンダーら6人の精鋭が、英政府の暗号研究機関“ブレッチリー・パーク”に集められる。 彼らに課せられた任務は、ドイツ軍が世界に誇る最強の暗号<エニグマ>を解読することだった…。 英国政府が50年間隠し続けた真実の物語。
アカデミー賞脚色賞

『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』象のロケット
『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』作品を観た感想TB

画像(C)2014 BBP IMITATION, LLC All rights reserved.

imitation1.jpg 【解説と感想】2人のイギリスが生んだ天才の物語が公開される。一つは「博士と彼女のセオリー」で、車椅子の物理学者スティーヴン・ホーキング博士(1942〜)になりきったエディ・レッドメインが主演男優賞を受賞した。もう一つが本作である。数学者アラン・チューリング(1912〜1954年)が主人公で、アカデミー賞脚色賞を受賞した。

imitation2.jpg チューリングは第二次世界大戦中にその頭脳を買われ、難攻不落と言われたナチスドイツの暗号“エニグマ”解読に挑んだ。その内容は50年以上も政府の重大機密であったため、彼の功績までもが曖昧にされていた。また後年、彼は不当(当時としては合法)に逮捕され、学者としての名誉と人間としての尊厳が傷つけられてしまった。そんなことが重なったせいか、コンピュータや人工知能の父と言われる偉大な数学者でありながら、ホーキング博士ほどは知られていない人物である。

imitation3.jpg さて、映画の中心となっているのは、アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)が、ブレッチリー・パーク(英政府の暗号研究機関)で同僚たち(キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、アレン・リーチ、マシュー・ビアード)と“エニグマ”解読に挑む数年間である。全員が各分野の精鋭で自信たっぷり。最初はゲーム感覚で解読に挑んでいたが、次第に「母国の人命を救うため」という使命感が広がっていく。

暗号の全組み合わせを調べるには2000万年以上かかり、しかも毎晩0時には設定が変わってしまうから、手作業では一生かかっても追いつかない。巨大な暗号解読機を手作りするが、それでも解読できない。エニグマもナチスドイツも強敵だった(日本軍の複雑な暗号も、アメリカが解読しようとしていた)。また、一つ暗号を解読したからといって、すぐ戦争に勝てるわけではない。まさに情報戦。ジェームズ・ボンドのような風貌のマーク・ストロングが、英国情報機関MI6の長官を演じている。

ところで、正月の箱根駅伝で青山学院大学駅伝部が優勝し、元「伝説の営業マン」原監督の選手育成手腕と、大学から予算を引き出したプレゼン力が話題となった。チューリングにも、予算獲得と自分の能力を売り込むプレゼン力、チームを率いる力があったようだ。いくら優秀でも一人の力には限界がある。一匹狼の変人チューリングが同僚と信頼関係を築いていく過程や、海軍中佐(チャールズ・ダンス)へのアピール、上がダメな場合の立ち回り方、結果が出せず非難されても耐え忍ぶ力、何度リストラされかけても平然としている図太さ、あきらめない勇気などは、会社員の方々にも参考になると思う。

一方で、本作はピュアなラブ・ストーリーでもある。チューリングは自分が作った機械に名前を付け、友達か恋人のように大事に扱っていた。彼は変わり者だから、数学や暗号、機械しか眼中になかったのだろうか。それともずっと愛し続けた人がいたのだろうか。思い至れば切なく、悲しい。

imitation4.jpg 大戦中と、チューリングのパブリック・スクール時代と、晩年が交錯している。少年時代と晩年の出来事が、彼の一生を左右した。時代が時代なら、自由に恋をして、ホーキング博士のように長生きして、もっともっと研究を続けられたであろう。知られざる第二次世界大戦下の情報戦と、天才数学者の生涯を描く、実話から生まれた物語。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 18:15| Comment(2) | TrackBack(15) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする