2018年09月13日

『プーと大人になった僕』お薦め映画

★★★★ 2018年製作 米 (110 min)
【監督】 マーク・フォースター(007/慰めの報酬、主人公は僕だった、ネバーランド、ステイ)
【出演者】
ユアン・マクレガー(トレインスポッティング、アイランド、スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃、ベルベット・ゴールドマイン)
ヘイリー・アトウェル(ウディ・アレンの夢と犯罪、キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー、ある公爵夫人の生涯、キャプテン・アメリカ ウインター・ソルジャー)
マーク・ゲイティス(SHERLOCK シャーロック 忌まわしき花嫁)
オリヴァー・フォード・デイヴィス、ブロンテ・カーマイケル、(声)ジム・カミングス、ブラッド・ギャレッド、他
【あらすじ】 イギリス・ロンドン。 大人になったクリストファー・ロビンは会社で管理職となり、妻イヴリンや娘マデリンと休日を過ごす時間もないほど多忙な毎日を送っていた。 仕事にも家族との関係にも悩むロビンが公園のベンチで頭を抱えていると、自分を呼ぶ聞き覚えのある声がする。 振り向くとそこには、かつての親友くまのプーがいた…。 ファンタジック・コメディ。 ≪それは風船より大切?≫

『プーと大人になった僕』象のロケット
『プーと大人になった僕』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2018 Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.

pooh1.jpg 【解説と感想】 イギリスの作家アラン・アレクサンダー・ミルン(1882〜1956:スコットランド人)が1926年以降に出版(挿絵は画家アーネスト・ハワード・シェパード(1879〜1976)が担当)した『くまのプーさん』シリーズは、今も世界中の子どもたちに読まれている人気児童文学だ。「100エーカーの森」で、幼い男の子クリストファー・ロビンは、はちみつが大好きなクマのプー、森一番の物知りフクロウのオウル、ネクラなロバのイーヨー、怖がり屋の子豚ピグレット、優しいカンガルーのママ・カンガと子どものルー、やんちゃなトラのティガー、お利口さんのウサギのラビットらと友達になり、毎日「なにもしない」で楽しく遊ぶ日々を送っていた。しかし、男の子は学校へ行く年齢となり、森の仲間たちとお別れする日がやって来る…。

本作は、少年が仲間と別れ、長い時間が経った後から始まる。大人になったクリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー、日本語版吹替:堺雅人)は現在、イギリスの首都ロンドンで中間管理職として、多忙な毎日を送っている会社員。美しい妻イヴリン(ヘイリー・アトウェル)、幼い娘マデリン(ブロンテ・カーマイケル)とゆっくり話したり、ご近所付き合いをする時間もない。

pooh2.jpg もうすぐ親元を離れ寄宿学校へ進学する娘と一緒に過ごす最後の夏だというのに、彼は週末に別荘へ行く約束より仕事を優先し、家庭内はギクシャクしてしまう。そんな彼の前に、突然プーが現れた! プーは別れた時のまんまで、相変わらず「ねえ、一緒に遊ぼう。」と、のんきに誘ってくる。今の彼には、プーなんかに構っているヒマはない。世話の焼けるプーを100エーカーの森まで送り届けても、彼は仕事の書類が入ったカバンを決して手放さない。プーは訳が分からず「仕事って、赤い風船より大事なの?」 とつぶやく。愛想のないつまらん男になったクリストファー・ロビンを見ているうちに、悲しくて涙が出てきた。自分も彼と同じではないかと。

娘マデリンは物分かりがいいが、本当はパパと一緒に遊びたいはず。仕事人間のクリストファー・ロビンも、かつては子どもだった。元気に森を駆けまわり、プーと同じ目線で物事を考えていた。でも、そんなことはすっかり忘れてしまっている。今の彼には守るべき妻子があり、そのためにも仕事で結果を出すことが求められているのだ。妻子には多少我慢してもらわなければならない。わかっちゃいるけど、愛しているけど、妻や子どもを構っている時間がない! 働き盛りって、辛い。そんなパパの複雑な愛は、家族になかなか伝わらないのである。

pooh3.jpg 本作は実写版。100エーカーの森はのどかで美しく、森の仲間たちも、絵本やアニメの世界から抜け出したようなぬいぐるみのモフモフ感で、森にもロンドンの街にも溶け込んでいる。娘マデリンと森の仲間たちが、大好きなパパ、クリストファー・ロビンのために奔走する、ほのぼのとしたストーリーだ。

お父さん方は多少ほろ苦い思いをされるかもしれない。
男女問わず忙しさに紛れ忘れていたことを思い出させてくれるファンタジック・コメディ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 11:53| 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『響 HIBIKI』お薦め映画

★★★★ 2018年製作 日 (106 min)
【監督】月川翔(センセイ君主、君の膵臓をたべたい、となりの怪物くん、黒崎くんの言いなりになんてならない)
【出演者】
平手友梨奈
北川景子(スマホを落としただけなのに、Dear Friends ディア フレンズ、パンク侍、斬られて候、花のあと)
アヤカ・ウィルソン(パコと魔法の絵本)
高嶋政伸、柳楽優弥、北村有起哉、野間口徹
【あらすじ】活字離れが急速に進み、出版不況の文学界。 そこに現れた15歳の天才少女「鮎喰響(あくいひびき)」の才気あふれる小説は、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。 編集者・花井ふみとの出会いを経て、一躍脚光を浴びる響。 だが、彼女の歯に衣着せぬ物言いや、常軌を逸した行動は、世間の非難を浴びることに…。 ヒューマンドラマ。
原作:柳本光晴『響 小説家になる方法』

『響 HIBIKI』象のロケット
『響 HIBIKI』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2018映画「響 HIBIKI」製作委員会(c)柳本光晴/小学館

hibiki1.jpg 【解説と感想】 才能って枯れるのだろうか? 何の才能もない私には経験がないので想像するだけだが、音楽家、画家、作家、陶芸家などクリエイティブな仕事をしている人の場合、一つの作品で脚光を浴びても、同じクオリティーのものが次も作れるとは限らない。スポーツ選手のように、芸術家が現役を引退して解説者になることはあまりない。納得できない作品を出し続けることは不本意だろうが、簡単にやめられない事情もある。第一線で華々しい創作活動をしている人は大変だ…。

近年、本や雑誌が売れず出版業界は困っている。新聞・テレビで宣伝したり、映画やドラマになれば原作本がそこそこ売れる。話題の人の自伝や暴露本が売れる。魅力的なハウツー本が売れる。しかし、地味な純文学はあまり売れない。インターネットの普及で、無料で読める文芸作品や、ブログもたくさんある。文芸誌なんて、私も何年も買っていない。本作はそんな出版不況の今、15歳という若さで出版界に彗星のごとく現れたシンデレラ・ガールの物語である。

主人公・鮎喰 響(あくい ひびき)を演じる平手友梨奈は、2015年に結成された女性アイドルグループ「欅坂46」のメンバーで17歳。センターを務めるだけあって、映画初出演とは思えない存在感を放っている。17歳で主演女優というのは、15歳の作家と同じくらいスゴい。彼女が今後、どんな女優になっていくのか楽しみだ。

響は昔ながらの文学少女だが、何事にも「妥協」できないトラブルメーカー。黙っていれば可愛いのに、感じたままをズバッと言う毒舌家で、よく言えば頑なで純な少女らしさを感じさせる。更に彼女はつい手や足が出てしまう暴力娘でもある。もちろん相手の方が悪いのだが、昨今は問答無用で暴力は不祥事になる時代だから、女性編集者・花井ふみ(北川景子)は後始末に奔走することになってしまう。

響の傑出した才能は、響の文芸部仲間・凛夏(アヤカ・ウィルソン)、先輩作家(柳楽優弥、北村有起哉、小栗旬)らに衝撃を与えた。響は謙遜も卑下もせず堂々としていて、惰性で駄作を書き続ける作家を許さない。「一生に一度の傑作」を書いた後も人生は続くから、近作を「つまらない」とハッキリ言われた先輩作家は辛いだろう。たとえ既に自身でそう感じていたとしてもだ。今後、響を納得させるだけの作品を、再び書けるか否かは分からない。しかし、15歳の少女・響が放つ辛辣な言葉は、彼らの気持ちを確実に変えていくのである。

出版業界や賞レースの舞台裏と、敵わない才能を目にした人々の葛藤を背景に、世に出るべくして出た女子高生作家の青春を描くヒューマンドラマ。お薦め作品だ

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 11:03| 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする