2010年02月07日

『フィリップ、きみを愛してる!』お薦め映画

★★★★ 2009年製作 仏  (97 min)
【監督】グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
【出演者】ジム・キャリー、ユアン・マクレガー、レスリー・マン、ロドリゴ・サントロ
【あらすじ】愛する妻子と平穏に暮らしていた警察官スティーヴンは、大事故で一命を取り留め人生観が変わった。 「もう、自分の人生に嘘はつかない!」 妻デビーに自分はゲイであるとカミングアウトし、人生を謳歌することに。 しかしそれには金が必要。 詐欺を繰り返し刑務所に収監されたスティーヴンは、運命の男フィリップと出会う…。 実話に基づく天才詐欺師の物語。
『フィリップ、きみを愛してる!』象のロケット
『フィリップ、きみを愛してる!』作品を観た感想TB

画像(C)2009 EUROPACORP All rights reserved.

phillip1.jpg【解説と感想】美人妻とかわいい娘がいて、週末には教会でオルガンを演奏する警察官スティーヴン(ジム・キャリー)。夫婦生活も良好で、妻デビー(レスリー・マン)は「幸せすぎる!」と叫ぶほど。平穏無事で何の不足もないそんな毎日が、交通事故に遭ったことから一変する。

「自分はもうすぐ死ぬかもしれない。」または、「自分はもう死んだ」と思った時、人生観は変わる。九死に一生を得て、あとは余生と達観すれば、何だってできる。 

奇跡的に助かったスティーヴンは「もう自分の人生に嘘はつかない!」と叫び、本当の自分として生きることを決意する。それは、「ゲイ」として生きること。 正直に妻にカミングアウトし、ラテン系のボーイフレンド、ジミーをゲット。「本当の人生」をエンジョイするスティーヴンは光り輝いている。

そこまでは、何の問題もない。「おめでとう。よくぞ思いきった!」と、拍手したくなるのだが、高価な買い物、ホテルで豪遊と派手に金を使う。「ゲイには金がかかる」らしい。もちろんクレジットカードで。支払いに困った彼はあらゆる詐欺に手を染め逮捕される。 

その筋の実態を知る元警官だからこそ、刑務所を非常に恐れていたスティーヴンだが、刑務所内で囚人のフィリップ(ユアン・マクレガー)と運命の出会いをする。ケンカっ早い荒くれ男たちの中で、オドオドする金髪碧眼のスウィートボーイ。一目ぼれしたスティーヴンは猛アタックし、その手のツテで、何と同房になることに成功する。昼も夜も2人一緒。食事もなぜか他の囚人より豪勢に。一生出たくないだろうと思うほどの、素晴らしき監獄ライフには笑わせてもらった。

だいぶ誇張されているとは思うが、刑務所ってこんなに「何とかなる」ものなのか? 真偽は確かめようもないが、ただでさえアメリカの刑務所は日本よりずっと待遇が良いという話である。日本でも特に冬場は、刑務所に入るためにわざわざ罪を犯す人がいると言う。確かに衣食住の心配はない場所だ。この不況で、これからますます、なくてもいい犯罪が増えそうな気がして心配になってきた。

phillip2.jpgジム・キャリー、ユアン・マクレガーの私生活は知らないが、「実はゲイだったの?」と言いたくなるほどの名演技である。表情も肩のすくめかたも普段の映画で見る彼らと全く違う。こういう映画は見ていて実に楽しい。

スティーヴンは頭がよくて頼りがいのある男。「金の工面は俺の仕事」ときっぱり言い切るところは男らしく、女性でもシビれるセリフだろう。
一方、フィリップはお人好しでかわいい男。仕事の付き合いでゴルフだパーティだと出歩くスティーヴンに「また出かけるの?」と不満顔。仕事も頑張って欲しいが、自分と過ごす時間もたっぷり取って欲しいと願う思考は、女そのものである。 

そして、レスリー・マンが、しっかり者の妻デビーを演じている。「幸せな妻」から「ゲイの妻」になってしまったが、その後もスティーヴンの「よき友」となり、「一番の理解者」になるのだ。敬虔なクリスチャンで、スティーヴンが詐欺で得た大金を送っても「神の御心に反している」と諌める。娘もいるのに夫がゲイだなんて、妻として相当ショックだったはずだが、その辺りの描写はない。新しい人生を歩むことを決意した夫をドンと受け止める器量を持ったイイ女で、もはや彼の母親になってしまった感がある。 

もともと彼が警官になったのは、実の母親を探すためであった。せっかく母との対面を描くなら、もう少し時間を割いてもよいだろうに、ちょっと物足りなかった。詐欺師となったことの原因が生い立ちにあるとは思えない。 

最初、妻デビーが考えたように、ゲイが原因で詐欺師になったのでもない。「ゲイには金がかかる」のかもしれないが、普通の男女と犯罪率は同じで、きちんとした生活を送っている人がほとんどだと私は思う。(実態は知らないが)

詐欺は犯罪だが、金を巻き上げても困らない相手を選んでいるので、スティーヴンがあまり悪者に見えない。その頭脳をもっと他に生かせなかったものか。
大学など出ていなくとも、あの頭脳とハッタリで、最初は小さな商売から始めても、十分成功したはずだ。けれど地味な努力はしたくなかったスティーヴン。小市民的生活にはウンザリしており、手っ取り早く金を稼いで、派手な生活を謳歌したかったのだろう。
新しい人生の最終目標とは、その程度だったのだろうか…? 

phillip3.jpg彼がつい暴走してしまうのは、全て恋人フィリップのため。フィリップを愛しているゆえなのであるが、何かと思いこみの激しいスティーヴンの愛は、だんだんフィリップの気持ちとかみ合わなくなってしまう。

フィリップは贅沢がしたかったわけではない。 彼はゲイのカップルとして、健全でささやかな生活が送れれば満足だったのだ。彼にとって一番大事なものは愛であり、無理して高価なプレゼントなど送る必要はなかったのである。

スティーヴンはその後も、フィリップの愛を取り戻そうと、とんでもないことを繰り返す。彼の一途な思いは果たしてフィリップに通じるのか…? 

これはIQ169の天才詐欺師スティーヴン・ラッセルのジェットコースター人生を描いたドキュメンタリー小説が原作で、実話に基づく物語。続きは、ぜひ劇場にてお確かめ頂きたい。ときには男同士の純愛物語もオツなもの。 笑えてちょっぴり泣ける、お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 19:47| Comment(0) | TrackBack(6) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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