2010年06月15日

『ぼくのエリ 200歳の少女』お薦め映画

★★★★★ 2008年製作 スウェーデン (115 min)
【監督】トーマス・アルフレッドソン
【出演者】カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション、ペール・ラグナル、ヘンリック・ダール、カーリン・ベリィクイスト、ペーテル・カールベリ、イーカ・ノード
【あらすじ】スウェーデン、ストックホルム郊外の集合住宅。 金髪の少年オスカーは毎日のように同級生の3人組にいじめられていた。 ある日、隣にエリという少女が引っ越してくる。 ボサボサの黒髪で青白い顔をしたエリは夜にしか姿を現さない不思議な女の子。 その頃、町では血を抜き取られるおぞましい殺人事件が起こっていた…。 ダーク・ファンタジー。 ≪恐ろしくも、哀しく、美しい12歳の初恋≫
『ぼくのエリ 200歳の少女』象のロケット
『ぼくのエリ 200歳の少女』作品を見た感想TB

画像(C)EFTI_Hoyte van Hoytema (C)EFTY MNVIII All rights reserved.

bokueli1.jpg 【解説と感想】ヴァンパイア物は、おぞましい作品が多いホラーの中では大変ロマンティックで、美しい物語になりやすい。吸血鬼はたいてい年を取らず魅力的で、彼らが人間の血を吸う行為は、セックスを連想させる官能的なシーンとして描かれる。

主人公の少年少女は12歳。今のところただ一緒にいたい、好き、守ってあげたいという感情しかないのだが、思春期前の幼くも危うい目覚めが抒情的に描かれ、セクシュアルな雰囲気がところどころに暗示されている。そのさじ加減が絶妙で心をかき立てられる。いやらしさは全くなく、何も深読みしなければ、淡い初恋のままで物語は進む。

北欧スウェーデン、ストックホルム郊外。凍てつくような夜、集合住宅の庭にいた金髪の少年オスカーの前に現れた、そっけない黒髪の少女エリ。
「年はいくつ?」
「だいたい12歳」
同じ子どもでも、エリの方がずっと大人びている。いじめられっ子のオスカーを励まし勇気を持つよう諭す、姉のような存在だ。

bokueli2.jpg 彼女は夜にしか姿を現さず、学校へも通っていない。2階にあるオスカーの部屋に窓から簡単に入ってきて、時には彼のベッドに潜り込む。エリは裸で、その身体は氷のように冷たい。
ひとりぼっちだった少年に初めて出来た、何でも話せる味方、友だち。うれしくて、ずっとずっと友だちでいたい。オスカーはそう願う。

やがてオスカーは、エリが年を取らない「ずっと12歳のまま」のヴァンパイアであることに気づく。だからと言って、エリに対する気持ちは少しも変わらない。ヴァンパイアであることが世間にバレて、彼女が町を去っていく方が怖いのだ。

bokueli3.JPG エリには周りから父親だと思われている同居の男がいる。彼はヴァンパイアではないが、エリの手を汚さぬよう自分が代わりに殺人を犯し、彼女の元へ生き血を運ぶ。ずっと昔にエリと出会い恋に落ちたのだろうが、もう若くはなく、殺人の手口も鮮やかとは言えない。エリをひたすら守り抜く男に比べ、エリの彼への感情はあまり見えてこない。

bokueli4.jpg 撮影当時、オスカー役の美少年カーレ・ヘーデブラントは11歳。あどけなさの中に、母子家庭の少年が持つ父親への思慕の念、いじめられっ子としての内弁慶な顔、そして少女を守っていく男としての逞しさも感じさせる。
エリ役の美少女リーナ・レアンデションは当時12歳。おませな少女の顔から、残虐なヴァンパイアとして生きていく諦め、女性としての色気まで表現する。
どちらも驚くべき名演技で、子どもが主人公の映画としては心に残る名作となるだろう。
今秋公開予定でハリウッドでリメイクされるが、本作のみずみずしさ、北欧の美しき陰鬱さを、どう表現するのであろうか。まずは本作でオリジナルの雰囲気を味わって頂きたい。いくら血まみれの殺人シーンがあっても、ホラーとは呼びたくないメルヘンの世界に心を奪われる、お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



posted by 象のロケット at 21:21| Comment(2) | TrackBack(3) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは☆すばらしい映画でした!!
好きですこの感覚。
次回作も楽しみです!
TB致しました。
Posted by mig at 2010年07月08日 10:51
TBどうもです。

一館だけというのは、ほんともったいないですね。
Posted by ひし at 2010年07月26日 20:13
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