2013年05月31日

『華麗なるギャツビー(2013年製作)』お薦め映画

★★★★ 2013年製作 米 (142 min)
【監督】バズ・ラーマン
【出演者】レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、アイラ・フィッシャー、ジェイソン・クラーク、エリザベス・デビッキ
【あらすじ】1922年、アメリカ・ニューヨーク。 証券会社に勤務する名家の青年ニック・キャラウェイの元に、隣人の大富豪ジェイ・ギャツビーからパーティの招待状が届く。 ギャツビーの宮殿のような豪邸には大勢の客がやって来て、夜ごと豪華絢爛なパーティが繰り広げられているが、誰一人、彼の正体を知る者はいなかった。 数日後、ニックの親戚で既に人妻であるデイジーと、ギャツビーが知り合いであることが分かるのだが…。 ラブ・ロマンス。
原作:F・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』

『華麗なるギャツビー』象のロケット
『華麗なるギャツビー』作品を観た感想TB

画像(C)2012 Warner Bros. Entertainment Inc.

gatsby1.jpg 【解説と感想】男はロマンチストで、女はリアリストだとよく言われる。女は実在するロマン(手の届くもの)を追い求め、男は実在しないロマン(手の届かないもの)を追いかける。そんな男女の幸せな誤解から愛が生まれ、種の保存に繋がっているのかもしれない。

gatsby2.jpg 世界恐慌(1929年頃〜)が起こる少し前の1922年のアメリカは、第一次大戦後のバブル景気に沸き、アメリカン・ドリームを体現した成金が生まれていた。ニューヨーク・ロングアイランドの架空の地域イースト・エッグは格式ある名家が屋敷を構える高級住宅地で、入江のちょうど向かい側に位置するウエスト・エッグは成り上がり者が住む新興高級住宅地。イースト・エッグの住民は、ウエスト・エッグの住民を内心蔑んでおり、貴族がいないはずのアメリカの、富裕層同士の格差感が強調されている。

gatsby3.jpg ウエスト・エッグの豪邸に住むジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)は、自称・資産家の一人息子だが、得体の知れない成金なのは明らかだ。望めばどんな美女でも手に入るはずなのに、彼が求める女は、向かい側のイースト・エッグに住む資産家トム・ブキャナン(ジョエル・エドガートン)の妻デイジー(キャリー・マリガン)ただ一人。ギャツビーは、いつかきっとデイジーが振り向いてくれると信じている。

gatsby5.jpg 怪しい金がどんどん入って来て、昼は政財界のVIPたちとの交渉、夜はパーティー三昧と忙しい。派手なスーツを着て高級車を乗り回す。ところが、バブル期の日本にもいたような正体不明の青年実業家ギャツビーは、実はそんな生活には全く興味がなさそうに見える。不自然な満面の笑みからも、無理して虚飾の世界に身を置いている居心地の悪さが感じられる。湯水のように金を使うのは、デイジーに成功した自分をアピールするためだった。お嬢さん育ちで社交界の花であるデイジーに相応しい社会的地位のある男になろうと、ギャツビーは5年間頑張って来たのだ。

もう結婚してしまった女を、娘や夫と引き離そうとするのは身勝手だ。彼女の幸せを願うのが本当の愛ではないか? または、彼女の家庭は壊さずに、割り切って真昼の情事を楽しめばよいではないか? そんな疑問が浮かぶ。しかしそれではギャツビーの夢は完成したとは言えない。そこまで執着するほどの力がデイジーにはあって、手が届きそうで届かない不思議な魅力に引き込まれてしまう。

gatsby4.jpg ギャツビーの唯一の理解者は隣家の青年ニック・キャラウェイ(トビー・マグワイア)で、彼もパーティーに集まる華やかな客とは趣の異なる文学青年である。第一次大戦を経験して意識が変わった、いわゆる“失われた世代”の代表的作家である原作者F・スコット・フィッツジェラルド自身のようでもある。イースト・エッグ的保守層とウエスト・エッグ的新興勢力のどちらにも共感出来ず、感じるのは虚しさだけ。語り手であるニックの前で、全ての出来事が泡となって消えてゆく。

手の届かない愛を求め続け、変わったようで変わらなかった男と、手の届く愛を掴み、変わらないようで変わってしまった女の5年ぶりの再会を、ゴージャスに描くシニカルなラブ・ストーリー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 18:39| Comment(0) | TrackBack(9) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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