2013年12月10日

『ゼロ・グラビティ』お薦め映画

★★★★★ 2013年製作 米 (91 min)
【監督】アルフォンソ・キュアロン (トゥモロー・ワールド、ハリー・ポッターとアズカバンの囚人、大いなる遺産、天国の口、終りの楽園。)
【出演者】サンドラ・ブロック (クラッシュ、あなたが寝てる間に…、デンジャラス・ビューティー2、恋は嵐のように)
ジョージ・クルーニー (パーフェクトストーム、ソラリス、グッドナイト&グッドラック、マイレージ・マイライフ)
【あらすじ】新人宇宙飛行士の女性ライアン・ストーン博士は、ベテラン男性宇宙飛行士マット・コワルスキーのサポートのもと、スペースシャトルの船外でミッションを遂行していた。 そこへ、破壊された人工衛星の大きな破片がいくつも猛スピードでぶつかって来た。 その衝撃で、2人は無重力空間(ゼロ・グラビティ)に放り出されてしまうのだが…。 SFスリラー。 ≪地球の上空60万メートル。 気圧もない。 酸素もない。 宇宙で生命は存続できない。≫

『ゼロ・グラビティ』象のロケット
『ゼロ・グラビティ』作品を観た感想TB

画像(C)2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

gravity1.jpg 【解説と感想】実施はまだだが、既に民間の旅行会社でも宇宙旅行の募集を始めている。多額の費用はかかるものの、一般人でも宇宙へ行ける時代になったのだ! 国境を越えた地球人としての認識が高まれば、国同士の争いも減るかもしれない。しかし大丈夫かと心配する声もある。第一に、命の保証はない。長い訓練を経て出発した宇宙飛行士でさえ、今までに何人も事故死している。自動車や航空機の事故との確率の比較はさておき、まずは酸素がない。レスキュー隊もすぐには駆けつけられないのだ。

第二には、宇宙ゴミ(スペース・デブリ)がますます増えるのではないかということ。宇宙空間には、地球人の作り出したゴミが、10cm以上の大きさの物だけでも16000個以上あるという。過去のミッションでの廃棄物や運用停止の衛星など、様々な宇宙ゴミが猛スピードで地球の周りを回っている。飛行数が増えればゴミが増え、ゴミとの衝突事故の危険も増える。大きな宇宙ゴミが地球に落下する危険もある。

gravity2.jpg 本作の主人公は、その宇宙ゴミ(破壊された人工衛星の大きな破片)のせいで、無重力空間(ゼロ・グラビティ)に放り出されてしまった宇宙飛行士たちである。スペースシャトルが大破し、生き残ったのは新人宇宙飛行士の女性ライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)と、サポート役のベテラン男性宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)の2名のみ。地球との連絡も途絶え、救助も望めない。いったいどうすれば生還できるのかという宇宙サバイバル・スリラーだ。

gravity3.jpg まずは映像に圧倒される。漆黒の闇に飲みこまれそうなリアリティのある静寂な空間は、まさに宇宙。CGを使った複雑極まる撮影方法や照明技術についてはプレス資料に詳しく書いてあり、どれだけの技術と資金が投入されているのかがよく分かった。撮影方法を詳しく知るのも映画鑑賞の楽しみの一つなので、お好きな方は鑑賞後、舞台裏を詳しく調べてからもう1回ご覧になれば細部まで楽しめることだろう。もっとも私は、あまりそんなことは気にせず見たままを受け入れる方である。

gravity4.jpg 登場人物はほとんど2人で、なおかつ彼らは途中で離れ離れになってしまう。途方もない孤独感、無力感に苛まれる。事故の前から、目の前の仕事に没頭するタイプの少し無愛想な女性ライアンにも、茶目っ気たっぷりに嘘か本当かわからない冗談を言い続ける男性マットにも、なぜか家族がいるようには見えなかった。後にライアンは天涯孤独なのだと告白する。自分の死を悲しんでくれる、あるいは、生還を喜んでくれる家族は一人もいないと。つまり彼らには、サバイバル・アクションにありがちな「何が何でも、家族や恋人のために生きて帰る!」という、危機的状況での生還への動機付けはない。見ている私たちにも、誰のためでもない宇宙唯一の存在である自分自身が、なぜ生きるのか、なぜ助かりたいのかという、本能的で哲学的な疑問を投げかけてくる。

宇宙から地球を眺めると人生観が変わってしまうとよく言われる。宗教家や超能力研究者、芸術家、ボランティア活動家など、ウソかホントかは定かではないが、帰還後、全然違う人生を歩み始めた元宇宙飛行士もいるらしい。ちなみに、日本人初の宇宙飛行士であり、初めて宇宙からの報道をしたジャーナリストでもあるTBS特派員・秋山豊寛氏は、その後、福島で一時期農業生活を送った。本作を観た後、私はちょっぴりそれが理解できるような気がした。海外旅行でさえ、カルチャーショックで人生が変わる人もいるではないか。ましてや宇宙である。

gravity5.jpg 宇宙旅行へ行く前に、まずは映画館で無重力の宇宙遊泳を体験してみよう。真の孤独を味わい、地球と宇宙の将来、ゴミの問題、そして命について考えてみよう。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 12:20| Comment(0) | TrackBack(9) | MDプリンタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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