2015年04月02日

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 米・カナダ (120 min)
【監督】アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(バベル、BIUTIFUL ビューティフル、21g)
【出演者】マイケル・キートン(ビートルジュース、クローンズ、ザ・ペーパー、バットマン)
ザック・ガリフィアナキス(ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い、ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える、スパイアニマル・Gフォース、デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断)
エドワード・ノートン(幻影師アイゼンハイム、25時、僕たちのアナ・バナナ、インクレディブル ハルク)
アンドレア・ライズブロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ
【あらすじ】シリーズ終了から20年経った今でも、世界中で大人気のスーパーヒーロー映画“バードマン”。 だがバードマン役で大スターになった男リーガンは、仕事も家庭も失い失意のどん底にいた。 リーガンは再起をかけ、自身の脚色・演出・主演でブロードウェイの舞台に立つことを決意する。 ところが俳優の一人が降板。 代役として現れたマイクは実力派だが、とんでもないトラブルメーカーだった…。 ブラック・コメディ。
アカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』象のロケット
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Twentieth Century Fox All rights reserved.

birdman1.jpg 【解説と感想】本作の主人公は、「バードマン」というヒーロー映画のシリーズで世界的大スターとなった中高年の俳優リーガン(マイケル・キートン)。シリーズが終了して20年経つが、「バードマン」ほどのヒット作には恵まれていない。世間からも家族からも散々な扱いを受けているのだが、私にはいいお父さんにしか見えなかった。

birdman2.jpg 薬物依存から脱却中の一人娘サム(エマ・ストーン)は今、更生のためリーガンの付き人をしている。彼女は父が俳優として終わっていると決めつけ、自分がこうなったのも父のせいだと言わんばかり。何でも親のせいにするな! 少しは応援しろよと言いたくなる。愛する娘に尊敬されないなんて、父親として辛いよなぁ…。

この20年、全く仕事をしなかったわけではないだろう。大きい借金もなく、犯罪者でもない。薬物・アルコール・ギャンブルの依存症でもない。リーガンは再起をかけ、自身の脚色・演出・主演でブロードウェイの舞台に立つことを決意したのだが、周囲の目は冷たい。遊園地建設や宇宙遊泳ではなく、きちんと本業で勝負しようとしている真面目な俳優だというのに…。

その舞台劇の原作は、レイモンド・カーヴァーの短編「愛について語るときに我々の語ること」。インテリ好みの文芸作品で、アクション俳優のリーガンに洗練された会話劇なんて出来るわけないと揶揄されている。自分で脚色するくらいだから、多少の素養はあるに違いない。いいじゃないか、冒険したって。ひょっとしたら、うまく行くかもしれないでしょ?

birdman3.jpg 舞台経験ゼロのリーガンがブロードウェイで主演できるのは、「バードマン」の知名度のおかげ。ところが、実力派の舞台俳優マイク(エドワード・ノートン)はデカい顔をするし、ハリウッドが大嫌いな舞台批評家タビサ(リンゼイ・ダンカン)からは、まだ見てもいないのにコケにされてしまう。しかし、一作でも世に知られた主演作品があるのは俳優として幸せなこと。今までパパラッチにも耐えてきたはず。有名人であることを利用したっていいじゃないか。まずは客が来なければ始まらないのである。

劇中のブロードウェイ劇でリーガンが演じる元恋人に復縁を迫る男、仕事と私生活の再起をかける本作の主人公リーガン、そして、本作でリーガンを演じるマイケル・キートン自身の姿が重なって見えてくるようなストーリーで、ハリウッド映画もアメコミヒーローもケチョンケチョンな扱いをされている。ところが本作自体もちろんハリウッド映画であり、リーガン役のマイケル・キートンは「バッドマン」、マイク役のエドワード・ノートンは「インクレディブル ハルク」、サム役のエマ・ストーンも「アメイジング・スパイダーマン」のヒロイン役と、3人ともアメコミヒーロー映画に出演している。そして彼らは本作でそれぞれアカデミー賞にノミネートされ、ハリウッドをけなしつつも本作はアカデミー賞作品賞その他、ものすごい数の賞を受賞するという快挙を成し遂げた。ある意味、ハリウッド映画の計り知れない懐の深さを感じる作品である。

birdman4.jpg リーガンのそばには時折、昔演じた“バードマン”が長年の相棒のように出現し、ドッキリわくわくさせてくれるシーンもある。だがそこからは、リーガンが相当追い詰められていることも感じられるのだ。 彼はブロードウェイで羽ばたくことができるのか? それとも終わってしまうのか? どんどん大変なことになっていく。長回しでずっと切れ目がないように感じられる本作、特にラストの窓のシーンは重要なので、画面から目を離さず注意してご覧頂きたい。

仕事一筋のお父さん、どうか、お仕事頑張ってください。誰もがあなたの価値を分かっていないが、私は心から尊敬し応援していますよ。そう言いたくなるブラック・コメディ。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 20:05| Comment(0) | TrackBack(10) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
Excerpt: シリーズ終了から20年経った今でも、世界中で大人気のスーパーヒーロー映画“バードマン”。 だがバードマン役で大スターになった男リーガンは、仕事も家庭も失い失意のどん底にいた。 リーガンは再起をかけ、自..
Weblog: 象のロケット
Tracked: 2015-04-05 00:43

映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」 感想と採点 ※ネタバレなし
Excerpt: 映画 『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 (公式)を本日公開初日に劇場鑑賞。採点は ★★★ ☆☆ (5点満点で3点)。100点満点なら70点にします。 ..
Weblog: ディレクターの目線blog@FC2
Tracked: 2015-04-10 20:05

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
Excerpt: アカデミー賞受賞してなかったら、多分観に行ってなかっただろうな。
Weblog: だらだら無気力ブログ!
Tracked: 2015-04-18 20:12

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
Excerpt: 幻覚らしい映像も入り込んでおり、混沌とした世界を見せられた観客は何がなんだかわからないままに終わってしまう。でも結末はちょっと楽観的だった。アカデミー賞作品賞など4部門を受賞しており、凄さを理解するの..
Weblog: とらちゃんのゴロゴロ日記-Blog.ver
Tracked: 2015-04-18 22:46

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は二兎を追う
Excerpt:  グッとくる題名だ。  『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。原題は"Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance)"。  映画..
Weblog: 映画のブログ
Tracked: 2015-04-22 20:55

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
Excerpt: 芝居を観るのは体力がいる。昔からずっと感じていた事である。LIVE感というのか、生身の人間のパッションがそのまま迫ってきて、こちらの魂が吸い取られていくような。真剣勝負だ、相討ちだ、と、喉元に刃を突き..
Weblog: ここなつ映画レビュー
Tracked: 2015-05-15 13:35

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
Excerpt: □作品オフィシャルサイト 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」□監督・脚本 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ□キャスト マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワ..
Weblog: 京の昼寝〜♪
Tracked: 2015-06-03 07:38

バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡):映画 簡単感想
Excerpt: 2014年 アメリカ 120分 原題「Birdman or (The Unexp
Weblog: 昼寝の時間
Tracked: 2015-06-03 16:50

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)|あなたの常識を覆す衝撃
Excerpt: 映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のあらすじと感想です。TOHOシネマズ梅田で見ました。ネタバレもあります。 始まって数分でその世界観に引き込まれた。今まで経験のしたことがに感..
Weblog: ミニシアターで映画を
Tracked: 2015-06-10 16:04

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) (Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance))
Excerpt: 監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ 主演 マイケル・キートン 2014年 アメリカ映画 119分 ドラマ 採点★★★ 平均寿命から考えると、人生の折り返しってのをとっくに過ぎてしまったミドルエイジ..
Weblog: Subterranean サブタレイニアン
Tracked: 2015-10-08 17:43