2015年08月24日

『ドローン・オブ・ウォー』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 米 (104 min)
【監督】アンドリュー・ニコル(シモーヌ、ガタカ、ロード・オブ・ウォー、TIME タイム)
【出演者】
イーサン・ホーク(ガタカ、パージ、アサルト13 要塞警察、大いなる遺産)
ブルース・グリーンウッド(レーシング・ストライプス、ビロウ、アイ,ロボット、小さな村の小さなダンサー)
ゾーイ・クラヴィッツ(マッドマックス 怒りのデス・ロード、X-MEN ファースト・ジェネレーション、アフター・アース、ダイバージェント)
ジェイク・アベル、ジャニュアリー・ジョーンズ
【あらすじ】アメリカ空軍の軍事パイロットであるトミー・イーガン少佐の勤務地は、ラスベガス近郊の空軍基地に設置された、エアコン完備の狭いコンテナ。 彼は今日もここでドローン(無人戦闘機)を遠隔操作し、1万キロも離れた中東の地にいる6人のタリバン兵をあの世送りにした。 車できらびやかな歓楽街を抜けてマイホームへ帰ると、妻と子どもたちが待っている。 そんな落差のある毎日に、トミーは違和感を覚えていた…。 現代戦争の実態。 R-15

『ドローン・オブ・ウォー』象のロケット
→『ドローン・オブ・ウォー』作品を観た感想TB

画像(C)2014 CLEAR SKIES NEVADA,LLC All rights reserved.

goodkill1.jpg 【解説と感想】ゴールデン・ウィーク前に首相官邸屋上に小さなドローン(無線操作によって飛行する無人航空機)が落下した事件は大きく報道され、ドローンの認知度が一気に上がった。ドローンは軍事目的で開発されたが、大小様々なサイズがあり、荷物運搬や写真撮影、調査、救助活動など、今やいろんな分野で活用されているらしい。

goodkill2.jpg 本作の時代設定は2010年頃。主人公トミー(イーサン・ホーク)は、かつてはF-16戦闘機に乗り、200回以上出撃して生還した優秀な米軍パイロットで、現在の勤務地はラスベガス近郊の空軍基地のオペレーションルーム。コンテナの“どこでもドア”を開けると、室内は中東。つまり、彼のチームは米国内の基地でドローンを遠隔操作し、1万キロ以上も離れた画面上の“中東”へ空対地ミサイル“ヘルファイア”を打ち込み、憎きタリバン兵を殺しているのだ。

goodkill3.jpg 任務とはいえ、敵とはいえ、何人もの人間をバラバラに吹っ飛ばした緊張感も解けないうちに、妻子の待つマイホームで夕食は楽しいバーベキュー。日常生活とのあまりの落差にトミーは違和感を覚えている。グラマラスな美人妻モリー(ジャニュアリー・ジョーンズ)との間もギクシャクして、今にも崩壊しそうだ。実機に乗っていた時は常に危険に晒されていたが、たまにしか会えない妻との関係は良好だった。以前とは比較にならないほど恵まれた職場に配属されたと言うのに、なぜ彼は沈んでいるのか?

上官ジョンズ(ブルース・グリーンウッド)は、ゲームセンター等でリクルートしてきた若きドローンパイロットの卵たちに繰り返し言って聞かせる。これは遊びのゲームではなく、戦争による殺人なのだと。軍はドローンに対する国内外からの批判も自覚しているが、タリバンを一掃するという使命感に燃えている。2001年の9.11アメリカ同時多発テロ事件を繰り返してはならないという、大義名分に支えられているのだ。

発射から着弾まで数秒のズレがあるため、標的以外の民間人を殺してしまう危険もある。CIAの特殊作戦では民間人を巻き込むリスクより、より多くのタリバンを殺す成果が優先される。向こうだってアメリカの民間人を殺しているからというのが理由。敵の民間人の被害より、自国の民間人の安全を守らなくてはならないという大義名分がある。

goodkill4.jpg どんな大義名分があろうと、自分のクリックひとつで人が死ぬ。敵ばかりでなく関係ない女性や子どもまで巻き添えにしてしまう。その現実に耐えられなくて、トミーのチームからもドラッグに溺れる者が出た。トミーもアルコールに溺れかけている。中東へ行かなくても家族が傍にいても、PTSD(心的外傷後ストレス障害)にかかってしまう。女性兵スアレス(ゾーイ・クラヴィッツ)も、これでは戦争が永遠に続くと批判的だ。全世界が抱いているドローンへの危惧が、彼女のセリフになっている。実際、ストレスに耐えかねて離職するパイロットは後を絶たないらしい。

PTSDにはならない方がいいけれど、クリック殺人が平気な兵士より、罪悪感を抱く兵士の方が正常と言える。ドローンを持
っているのは米軍だけではない。今後、ドローンによるテロは確実に起こるだろうし、小さいものだと見つけにくいから、爆発を未然に防ぐことも難しくなる。自爆テロとドローン・テロ、どちらが危険だろう。それでも米軍はドローンを使用し続けるべきなのか? 進化する現代戦争の実態と矛盾を描いたタイムリーな問題作。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 22:54| Comment(0) | TrackBack(7) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ドローン・オブ・ウォー
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