2018年09月13日

『響 HIBIKI』お薦め映画

★★★★ 2018年製作 日 (106 min)
【監督】月川翔(センセイ君主、君の膵臓をたべたい、となりの怪物くん、黒崎くんの言いなりになんてならない)
【出演者】
平手友梨奈
北川景子(スマホを落としただけなのに、Dear Friends ディア フレンズ、パンク侍、斬られて候、花のあと)
アヤカ・ウィルソン(パコと魔法の絵本)
高嶋政伸、柳楽優弥、北村有起哉、野間口徹
【あらすじ】活字離れが急速に進み、出版不況の文学界。 そこに現れた15歳の天才少女「鮎喰響(あくいひびき)」の才気あふれる小説は、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。 編集者・花井ふみとの出会いを経て、一躍脚光を浴びる響。 だが、彼女の歯に衣着せぬ物言いや、常軌を逸した行動は、世間の非難を浴びることに…。 ヒューマンドラマ。
原作:柳本光晴『響 小説家になる方法』

『響 HIBIKI』象のロケット
『響 HIBIKI』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2018映画「響 HIBIKI」製作委員会(c)柳本光晴/小学館

hibiki1.jpg 【解説と感想】 才能って枯れるのだろうか? 何の才能もない私には経験がないので想像するだけだが、音楽家、画家、作家、陶芸家などクリエイティブな仕事をしている人の場合、一つの作品で脚光を浴びても、同じクオリティーのものが次も作れるとは限らない。スポーツ選手のように、芸術家が現役を引退して解説者になることはあまりない。納得できない作品を出し続けることは不本意だろうが、簡単にやめられない事情もある。第一線で華々しい創作活動をしている人は大変だ…。

近年、本や雑誌が売れず出版業界は困っている。新聞・テレビで宣伝したり、映画やドラマになれば原作本がそこそこ売れる。話題の人の自伝や暴露本が売れる。魅力的なハウツー本が売れる。しかし、地味な純文学はあまり売れない。インターネットの普及で、無料で読める文芸作品や、ブログもたくさんある。文芸誌なんて、私も何年も買っていない。本作はそんな出版不況の今、15歳という若さで出版界に彗星のごとく現れたシンデレラ・ガールの物語である。

主人公・鮎喰 響(あくい ひびき)を演じる平手友梨奈は、2015年に結成された女性アイドルグループ「欅坂46」のメンバーで17歳。センターを務めるだけあって、映画初出演とは思えない存在感を放っている。17歳で主演女優というのは、15歳の作家と同じくらいスゴい。彼女が今後、どんな女優になっていくのか楽しみだ。

響は昔ながらの文学少女だが、何事にも「妥協」できないトラブルメーカー。黙っていれば可愛いのに、感じたままをズバッと言う毒舌家で、よく言えば頑なで純な少女らしさを感じさせる。更に彼女はつい手や足が出てしまう暴力娘でもある。もちろん相手の方が悪いのだが、昨今は問答無用で暴力は不祥事になる時代だから、女性編集者・花井ふみ(北川景子)は後始末に奔走することになってしまう。

響の傑出した才能は、響の文芸部仲間・凛夏(アヤカ・ウィルソン)、先輩作家(柳楽優弥、北村有起哉、小栗旬)らに衝撃を与えた。響は謙遜も卑下もせず堂々としていて、惰性で駄作を書き続ける作家を許さない。「一生に一度の傑作」を書いた後も人生は続くから、近作を「つまらない」とハッキリ言われた先輩作家は辛いだろう。たとえ既に自身でそう感じていたとしてもだ。今後、響を納得させるだけの作品を、再び書けるか否かは分からない。しかし、15歳の少女・響が放つ辛辣な言葉は、彼らの気持ちを確実に変えていくのである。

出版業界や賞レースの舞台裏と、敵わない才能を目にした人々の葛藤を背景に、世に出るべくして出た女子高生作家の青春を描くヒューマンドラマ。お薦め作品だ

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 11:03| 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする