2019年01月11日

『天才作家の妻 40年目の真実』お薦め映画

★★★★ 2017年製作 スウェーデン・英・米 (101 min)
【監督】ビョルン・ルンゲ
【出演者】
グレン・クローズ(101、彼女を見ればわかること、アルバート氏の人生、白と黒のナイフ)
ジョナサン・プライス(未来世紀ブラジル、エビータ、パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド、007/トゥモロー・ネバー・ダイ)
クリスチャン・スレーター(マンハッタン花物語、クライム&ダイヤモンド、告発、インビジブル2)
マックス・アイアンズ、ハリー・ロイド、アニー・スターク、エリザベス・マクガヴァン
【あらすじ】現代文学の巨匠となったアメリカの作家ジョゼフ・キャッスルマンの、ノーベル文学賞受賞が決定。 授賞式に出席するため、妻ジョーン、駆け出しの作家の息子デビッドと共にスウェーデンを訪れた夫ジョゼフは、有頂天だった。 ホテルのロビーで、妻ジョーンは記者ナサニエルから思いがけない質問をぶつけられる…。 ヒューマンドラマ。

『天才作家の妻 40年目の真実』象のロケット
『天才作家の妻 40年目の真実』作品を観た感想TB

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wife1.jpg 【解説と感想】 ノーベル賞受賞者の発表後は、受賞者の業績はもちろん、生い立ち、家族、母校、私生活などが話題となり、尊敬の念を持って報道される。歴代の日本人受賞者は謙虚な好人物のように見受けられると共に、一般人とは次元が違う独特の雰囲気も漂わせている。彼らは歴史に名を残す、特別な方々なのだ。
なのに本作は、老夫婦のベッドシーンから始まる。まだまだ性欲衰えない夫ジョゼフ(ジョナサン・プライス)に呆れながらも、付き合うしかない妻ジョーン(グレン・クローズ)。そこへ、夫にノーベル賞受賞の報せが入る。これでもジョゼフはアメリカ現代文学の巨匠で、世界に名を知られた大作家なのだ。ベッドの上で飛び上がって喜んだ夫妻は、駆け出し作家の息子デビッド(マックス・アイアンズ)を伴い、授賞式が行われるスウェーデンのストックホルムへ向かう。

wife2.jpg 大勢の報道陣の中で、1人だけ嫌な記者がいた。ジョゼフの伝記を書くつもりだという男性記者ナサニエル(クリスチャン・スレーター)は、ジョーンにとんでもない質問をぶつける。夫ジョゼフの作品は、実は妻ジョーンが書いたものではないかと言うのだ。失礼極まりない質問なので、当然ジョーンは相手にしない。しかしナサニエルはしつこくて、息子デビッドまでが両親に疑念を抱き始めた。

本作の見どころの一つはノーベル賞受賞式の舞台裏で、受賞第一報から、現地の出迎え、ホテルの接遇、現地の案内、式典リハーサル、記念パーティー、料理やファッションなど、一般人が知りたい情報がコンパクトに詰め込まれている。高待遇をもって迎えられる受賞者も、会場では大勢の出席者の1人。それでもジョゼフとジョーンには、巨匠とその妻という輝きと風格がある。歳を取ると、失われる若さと引き換えに、こんないい味が出てくるのだ。もちろん生き方次第だが…。

wife3.jpg 妻ジョーンはだんだん落ち込んでいく。ナサニエルのせいで、昔の自分を思い出してしまったからだ。若い頃の彼女(アニー・スターク:グレン・クローズの実の娘)は作家を目指していて、妻子持ちの若い教授ジョゼフ(ハリー・ロイド)の教え子だった。ジョーンには才能があったが、当時は女性作家が成功するのは困難な時代。やがて、ジョーンは略奪愛の末にジョゼフと結婚し、子宝にも恵まれた。夫はノーベル賞作家となり、妻としては文句のつけようのない勝ち組となったが、果たして彼女は幸せだったのか…? 

wife4.jpg 妻ジョーンは終始ポーカーフェイスで落ち着き払っており、記者に本音を話さない。それだけでも、彼女がタダ者ではないことが分かる。一方、能天気にはしゃいでいる夫ジョゼフはエロ親父ぶりも発揮し、だんだんアホに見えてくる。ただ、下半身と才能は関係ないのかもしれないし…?

結局のところ、天才作家は夫と妻のどちらだったのか? もちろん私が明かすわけにはいかない。夫婦の絆は外から窺い知ることはできないし、ひょっとしたら当人同士だって真実に気づいていないかもしれない。天才作家を40年間支え続けた妻が一番大切にしたかったものが明かされる、格調高い大人の夫婦のドラマ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 11:23| 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする