2019年02月18日

『グリーンブック』お薦め映画

★★★★★ 2018年製作 米 (130 min)
【監督】ピーター・ファレリー
【出演者】
ヴィゴ・モーテンセン(イースタン・プロミス、はじまりへの旅、ヒストリー・オブ・バイオレンス、オーシャン・オブ・ファイヤー)
マハーシャラ・アリ(アリータ:バトル・エンジェル、ベンジャミン・バトン 数奇な人生、プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ / 宿命、ムーンライト)
リンダ・カーデリーニ(ハンターキラー 潜航せよ、シンプル・フェイバー、スクービー・ドゥー2 モンスターパニック、ブロークバック・マウンテン)

【あらすじ】1962年、アメリカ。 ニューヨークの一流ナイトクラブ「コパカバーナ」で、用心棒を務める白人男性トニー・リップ。 店が一時休業となった時期、彼は黒人男性ピアニスト、ドクター・シャーリーのコンサートツアー運転手として雇われた。 黒人用旅行ガイド〈グリーンブック〉を頼りに、2人は人種差別の激しい南部へと向かうことに…。 実話から生まれた音楽ヒューマンドラマ。。
ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門作品賞・助演男優賞・脚本賞

『グリーンブック』象のロケット
『グリーンブック』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All rights reserved.

greenb1.jpg 【解説と感想】 男女差別の「ビリーブ 未来への大逆転」、人種差別の「ブラック・クランズマン」、「ビール・ストリートの恋人たち」、同性愛者差別の「サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所」等、これから続けざまに「差別」を描くアメリカ映画が公開される。差別に苦しむ人が、今もいかに多いかということの現れだろう。世の中から差別は決してなくならない。

本作もアメリカの人種差別がテーマで、イタリア系移民の白人中年男トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)が、黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手兼用心棒となり演奏旅行に同行するという、実話ベースの物語だ。

greenb3.jpg 時は1962年。トニーには当時の白人男性としてはごく普通の黒人差別意識があった。しかし、アメリカで割と少数派のイタリア系移民は、「ウォップ(イタリア野郎)」と呼ばれ、白人の中では少々差別されてもいた。北欧系アメリカ人のスリムでハンサムなヴィゴ・モーテンセンが、お人好しのガサツで教養のないビール腹の典型的な「イタリアおやじ」になりきっているのには驚いた!

greenb2.jpg 一方、ドクター・シャーリーは黒人の人気ピアニスト。カーネギーホールの最上階で王様のような暮らしをしている、異色のインテリ紳士。上流階級の白人は彼を持てはやすが、受け入れるのは演奏だけで、決して同格とは見なしていない。北部ならそうでもないが、南部は特に黒人差別が強い。しかし、ドクターは敢えて南部ツアーを決行した。白人に劣らぬ身の振るまいと演奏の実力で、黒人を見る白人の目を変えたかったのだろう。

タイトルの「グリーンブック」とは、黒人が利用可能な施設が記載された旅行ガイドブックで、「ジム・クロウ法(有色人種による公共施設の利用を制限する法律)」の適用が地域によって異なる南部で重宝されていた。「ドクター・シャーリー・トリオ」の他のメンバーは白人なので、移動は別行動。面倒だがちゃんとやらないと逮捕されてしまう。

ドクター・シャーリーは元々クラシック畑の人。彼のCDにはクラシックの名曲も入っていて、静かで格調高い演奏が耳に残る。黒人の演奏は受けないと言われ、やむなくジャズ系に転向したが、本当はクラシックをやりたかったのだという。博士号を取っても、演奏が上手くても、色が黒いばかりにクラシック界では認められなかった。逆に黒人の中では浮いた存在だったろう。畑の中で働く黒人労働者たちが、白人運転手を従えた彼を無言で見つめる様子が何とも言えず印象的だった。

南部のコンサートツアーはハプニングの連続。屈辱的な扱いを受けてドクターは傷つくが、気のいいトニーとの掛け合いは笑わせてくれるし、微笑ましいエピソードもある。黒人の現実を知り、トニーの差別意識は変わっていった。インテリ黒人ピアニストと粗野な白人運転手が友情を育んでいく、社会派ロードムービー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
 
posted by 象のロケット at 21:22| 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする