2017年01月23日

『サバイバルファミリー』お薦め映画

★★★★ 2017年製作 日 (117 min)
【監督】矢口史靖(WOOD JOB! 神去なあなあ日常、ウォーターボーイズ、ロボジー、アドレナリンドライブ)
【出演者】
小日向文世(仄暗い水の底から、愛を乞うひと、いま、会いにゆきます、重力ピエロ)
深津絵里(ステキな金縛り、恋ノチカラ TV版Vol.1〜4、女の子ものがたり)
泉澤祐希(君と100回目の恋)
葵わかな、菅原大吉、徳井優、桂雀々
【あらすじ】ある朝、緊急事態が発生する。 テレビや冷蔵庫、スマホにパソコンといった電化製品ばかりか、電車、自動車、ガス、水道、乾電池に至るまで、電気を必要とするすべてのものが完全にストップしてしまったのだ! 情報も絶たれた中、突然訪れた超絶不自由生活。 東京に暮らす鈴木家の父親は、一世一代の大決断を下す…。 サバイバル・ドラマ。

『サバイバルファミリー』象のロケット
『サバイバルファミリー』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

survival1.jpg 【解説と感想】年末年始、私はほぼ潜伏生活を送っていた。一歩も外へ出なくても、続々と年末年始のご馳走や正月飾りが届く。汚れ物は白物家電にお任せ。室温・湿度も快適。それもこれも通販、宅配便、便利家電のおかげである。ありがとう!
しかし、ライフラインがストップしたら、こんな食っちゃ寝グータラ生活は送れないのである。年末に観た本作を思い出し、毎日の有り難さを噛み締める正月であった。

そう、本作「サバイバルファミリー」は、電気・ガス・水道がストップしてしまうお話である。なぜか乾電池も使えなくなり時計も動かない。ガソリンで動くはずの自動車も動かない。動く乗り物は自転車だけ。テレビ・ラジオやスマートフォンも使えないので、どこかで大災害があったのか、なかったのか、この不便な生活がいつまで続くのかも、全く分からないのだ。

主人公は、この危機に直面した鈴木一家4人(父・母、思春期の息子、娘)。食べ物も水も手に入らなくなり、このまま家にいても餓死を待つばかり。亭主関白を気取る父(小日向文世)は東京を捨てる決心をし、俺について来いと宣言する。田舎に行けば何とかなると思ったのだ。しかし、自転車でようやく空港へたどり着いたものの、当然のことながら飛行機は飛んでいない。文句を言いながらもついて来た家族は、父が頼りにならないことを再認識する。

妻(深津絵里)は主婦ならではの備えと知恵を発揮し当座をしのぐ。生活面では母強しである。しかし、日頃の運動量も少なく華奢な母には、体力がなかった! 息子(泉澤祐樹)、娘(葵わかな)は、カッコつけとスマホ生活から抜けられないイマドキの若者である。特に娘のブータレ状態ときたら話にならない。

survival3.jpg こんな時、他人の面倒まで見ていられないのはお互い様。途中、印象的な4人家族(父:時任三郎、母:藤原紀香、息子二人:大野拓朗・志尊淳)が登場する。彼等は日頃からアウトドア生活に慣れ親しんでいるらしく、服装も持ち物も準備万端。「ボクたちこんな非常事態だって楽しんでますよ」という雰囲気がちょっと鼻につく。頼りがいある両親とハンサムな息子たちを、鈴木家の娘は羨望の眼差しで見つめる。ウチのオトーサンとは雲泥の差! 情けないが仕方ない。娘はダメ親父について行くしかないのだ。

survival5.jpg もう飢え死にしそうだという時、鈴木一家は老人(大地康雄)宅で意外な親切を受ける。普段はバカにしている田舎に、煙たがっている老人に、ほぼ就活の対象外である農林水産業に、イザという時は必ずお世話になるのだ。いつも口にしている野菜や肉・魚、豊富にあると思っている水や電力も、供給しているのは地方なのだということを、都会人はウッカリ忘れている。戦争の時も、震災の時も、多くの人々が地方へ移動した。田舎の方が都会より自然豊かで、人情があり、簡単に食料が手に入り、安全で健康的な生活を送っているイメージがある。実際はそうでもないのだが…。

survival4.jpg 大災害発生時、直接の被災は免れても、水道・ガス・電気の供給や交通機関が一時ストップし、大変な思いをされた方々は多いだろう。そんな時、ラジオやインターネットの情報が頼りとなる。しかし本作の場合はそんな情報機器すらも使えない。普段、情報に踊らされている私たちだが、情報がなければ自分の判断で動くしかない。

 さて、ボロボロになりながらも鈴木一家は自転車で苦難の旅を続ける。もし目的地にたどり着いたとしても、そこでどうするのか? 2011年の東日本大震災から5年以上が経過したというのに余震はまだまだ続いているし、最近の地震は首都圏大震災の前震ではと煽る人もいる。防災用品は準備万端の方もそうでない方も、アウトドア生活が趣味の方も苦手な方も、頼る田舎がある方もない方も、参考のために見て欲しい。深刻になり過ぎない明るい冒険サバイバル。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
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2017年01月20日

『ザ・コンサルタント』お薦め映画

★★★★★ 2016年製作 米 (128 min)
【監督】ギャヴィン・オコナー(ジェーン)
【出演者】
ベン・アフレック(ゴーン・ガール、アルゴ、ペイチェック 消された記憶、偶然の恋人)
アナ・ケンドリック(ピッチ・パーフェクト、ピッチ・パーフェクト2、エンド・オブ・ウォッチ、マイレージ・マイライフ)
J・K・シモンズ(ラ・ラ・ランド、セッション、ターミネーター:新起動/ジェニシス、スパイダーマン2)
ジョン・バーンサル、ジーン・スマート、シンシア・アダイ=ロビンソン、ジェフリー・タンバー
【あらすじ】シカゴ近郊の田舎町に小さな公認会計事務所を構えるクリスチャン・ウルフは、大手電子機器メーカーの使途不明金の調査を依頼される。 ところが調査は途中で打ち切られ、経理担当者の女性デイナとウルフは命を狙われることに。 一方、アメリカ財務省犯罪捜査部のキング局長は、女性分析官メディナに、世界中の悪人を顧客にしている裏社会の会計コンサルタントの正体を突き止めるよう命じていた…。 クライム・アクション。

『ザ・コンサルタント』象のロケット
『ザ・コンサルタント』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

accountant1.jpg 【解説と感想】近年、ずっとワガママな奴、根気のない奴、自己チュー(自己中心的)と言われていた人が、自閉症、ADHDやアスペルガー症候群などの発達障害ではないかと言われるようになった。親や本人に病気という認識がなかったために、大人になってから判明したという人もいる。逆に、実際には発達障害ではないのに「あいつはアスペだ」とか「ADだ」と陰口を叩かれる場合もある。同じ自閉症でも知的障害を伴う場合と伴わない場合があり、種類は多岐にわたる。発達障害を抱える人は誤解されやすく、昔は変わり者扱いされていた。普通の学校には馴染めなくても芸術や学術方面で能力を発揮する人も多く、発明家エジソンや物理学者アインシュタイン、画家のピカソ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、山下清、作曲家ベートーベン等も発達障害だったのではと言われている。普通の人とは脳の使い方や、行動の優先順位が違うのかもしれない。

本作の主人公クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は、高機能自閉症スペクトラム(言葉の発達に遅れがあり、人間関係を築くのが困難。知的障害はなく、興味のある物事へのこだわりが極端に強いタイプ。)であったために、子どものころはイジメに遭っていた。息子の将来を案じた父親と母親の教育方針は正反対でウルフ少年は悲しい思いをしたが、今は小さな公認会計士事務所を構え田舎町に溶け込んでいる。生活には何の心配もない…というか稼ぎすぎている。なぜなら実は彼は、麻薬カルテル、武器商人、殺し屋など、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切る闇の会計士だからだ。危ない目に遭っても大丈夫。彼は命中率100%の射撃の腕と、格闘技を身に着けている。普段のインテリ顔と落差のある戦いぶりがカッコイイ!

まずは彼の、人と接することが苦手で愛想の一つも言えない性格、天才的な頭脳と事務処理能力、敵なしの戦闘能力という一風変わったキャラクターに魅せられ、その後の展開への期待に胸が膨らむ。不愛想でも何とかなる職業なだけに、町の人々も彼の言動が多少変わっていると感じても、あまり気にしない。気にしているのは、アメリカ政府財務省犯罪捜査部のキング局長(J・K・シモンズ)だけで、彼は女性分析官メディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン)にウルフの正体を突き止めるよう命じる。

accountant2.jpg もちろん表の仕事もやっているウルフは、敏腕マネージャー(その正体は後のお楽しみ)の指示で、大手電子機器メーカーの使途不明金調査を請け負う。ウルフと女性経理担当者デイナ(アナ・ケンドリック)は危険な目に遭うのだが、ウルフの感情が変化していくのがわかる。果たして、恋へと発展するのだろうか…? 

ウルフがどんな育ち方をしたのか、家族との関係、抱えている悩み、なぜ裏社会の仕事をやっているのか等が明かされる一方で、表の仕事と裏の仕事の行方、敵と味方が入り交じり、盛りだくさんの展開となっている。自閉症でメチャクチャ強い闇の会計士というユニークなダークヒーローの登場で、これはシリーズ化されないと勿体ない。次回作が楽しみなクライム・アクション。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)
 
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2015年10月22日

『俺物語!!』お薦め映画

★★★★ 2015年製作 日 (105 min)
【監督】河合勇人(花影、鈴木先生)
【出演者】
鈴木亮平(ふたたび SWING ME AGAIN、花子とアン、予告犯、TOKYO TRIBE)
永野芽郁(私の優しくない先輩、ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲)
坂口健太郎(ヒロイン失格、at Home アットホーム)
鈴木砂羽、寺脇康文、森高愛、高橋香織
【あらすじ】高校1年の剛田猛男は、全く高校生には見えない風貌と巨体の持ち主で 、豪傑・硬派な日本男児。 女子からは恐れられているが、男子からの信頼はアツい! これまで猛男が惚れた女子はみんな、隣家に住む親友で超イケメンの砂川誠を好きになるという残念な結果が続いていた。 ある朝、猛男と砂川は女子高生・大和凛子を危機から救い、猛男は大和に一目惚れしてしまう…。 ラブストーリー。
原作:『俺物語!!』(作画・アルコ 原作・河原和音 /集英社「別冊マーガレット」連載) 主題歌:槇原敬之『1』

『俺物語!!』象のロケット
『俺物語!!』作品を観た感想TB

画像(C)アルコ・河原和音/集英社(c)2015映画「俺物語!!」製作委員会

ore1.jpg 【解説と感想】ラグビーワールドカップ2015で日本代表チームが南アフリカに勝利し、決勝トーナメント進出は逃したが、3勝1敗という予想外の成績を収めて帰国した。「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝時のような大旋風が巻き起こっている。ガッチリ体型の選手たちの髪形はサッパリしていて、もちろん黒髪。ファッションが話題になるサッカー選手と違って、失礼ながらあまりオシャレさんには見えない。だが、そこがいいのだ! ファンになった女子たちは今、マッチョなラグビー選手にゾッコンなのだという。東日本大震災の時に自衛隊ブームが起こったように、やはり女子は「頼りがいのある男」を求めている!

本作の主人公・剛田猛男(鈴木亮平)は高校1年生だが、いかつい顔面と仁王像のような体型で、スポーツ万能。情に厚く、男子からの信頼は抜群。だが残念ながら女子からは怖がられ、対象外となっている。隣家に住む超イケメンの砂川誠(坂口健太郎)は猛男の親友で、こちらはラブコメ王道の王子様のようなルックス。成績優秀で性格もいい。砂川は告白されてもフッてばかりで、モテるのに彼女がいない。意中の人でもいるのだろうか…。

ore2.jpg 猛男と砂川は、チンピラに絡まれていた他校の女子・大和凜子(永野芽都)を救い、その時、猛男は大和に一目ぼれしてしまう。「好きだああああああああ!」と雄叫びするほど、めっちゃカワイイ大和! 男子にも女子にも嫌われないタイプだろう。助けてもらった御礼と称して、いじらしくも大和は毎日のように手作りのお菓子を持って来る。大和が砂川のことを好きなのだと感じた猛男は、ついつい2人の仲を取り持とうと頑張ってしまう。あぁ、切ない!

ore3.jpg まず、猛男を演じているのが、体重を30kg増やして100kg近くになった鈴木亮平(身長185cm、蛇足ながら32歳)と知って驚いた。もう素顔が思い出せないほどの変貌ぶり! 朝ドラ「花子とアン」で夫役を演じた彼は、ドラマ「天皇の料理番」では、病死する役のために20kg減量し56kgになったという。本来の体重がわからなくなってしまいそうだ。だが、30kg太ってもブヨブヨした肥満体ではなく、ラグビーの五郎丸歩選手(身長186cm、体重100kg)を彷彿とさせるような、ガッチリ締まった身体なのである。猛男の強すぎるスポーツ選手としての活躍や、大和とのズレた掛け合いには、爆笑の嵐! 五郎丸選手も、猛男も、そして鈴木亮平も、肝が据わった男の中の男という印象を受けた。

ore4.jpg 大和と砂川はなかなかくっつかない。大和の気持ちは途中でアッサリわかるのだが、砂川はなかなか本音を言わないのである。そこで気になった。ひょっとして砂川は…、猛男のことが好きなんじゃないだろうか? いつも猛男の隣にいる砂川の柔らかな茶髪、猛男を見つめるつぶらな瞳、もう完全にボーイズラブの世界! まさかのまさかではないかと心震わせる私であったが、結果は見てのお楽しみ…。

猛男の「大丈夫だ!」「任せておけ!」は、実に頼りがいのある決めゼリフ。天変地異が起ころうと、リストラされようと、彼なら妻子を飢えさせることはないだろう。あっ失礼、まだ猛男は15歳だった! こんな男が親友なら、こんな男子が彼氏ならと思うこと請け合い。少女コミックとしては異色の、巨漢高校生が主人公の青春ドラマ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年08月24日

『ドローン・オブ・ウォー』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 米 (104 min)
【監督】アンドリュー・ニコル(シモーヌ、ガタカ、ロード・オブ・ウォー、TIME タイム)
【出演者】
イーサン・ホーク(ガタカ、パージ、アサルト13 要塞警察、大いなる遺産)
ブルース・グリーンウッド(レーシング・ストライプス、ビロウ、アイ,ロボット、小さな村の小さなダンサー)
ゾーイ・クラヴィッツ(マッドマックス 怒りのデス・ロード、X-MEN ファースト・ジェネレーション、アフター・アース、ダイバージェント)
ジェイク・アベル、ジャニュアリー・ジョーンズ
【あらすじ】アメリカ空軍の軍事パイロットであるトミー・イーガン少佐の勤務地は、ラスベガス近郊の空軍基地に設置された、エアコン完備の狭いコンテナ。 彼は今日もここでドローン(無人戦闘機)を遠隔操作し、1万キロも離れた中東の地にいる6人のタリバン兵をあの世送りにした。 車できらびやかな歓楽街を抜けてマイホームへ帰ると、妻と子どもたちが待っている。 そんな落差のある毎日に、トミーは違和感を覚えていた…。 現代戦争の実態。 R-15

『ドローン・オブ・ウォー』象のロケット
→『ドローン・オブ・ウォー』作品を観た感想TB

画像(C)2014 CLEAR SKIES NEVADA,LLC All rights reserved.

goodkill1.jpg 【解説と感想】ゴールデン・ウィーク前に首相官邸屋上に小さなドローン(無線操作によって飛行する無人航空機)が落下した事件は大きく報道され、ドローンの認知度が一気に上がった。ドローンは軍事目的で開発されたが、大小様々なサイズがあり、荷物運搬や写真撮影、調査、救助活動など、今やいろんな分野で活用されているらしい。

goodkill2.jpg 本作の時代設定は2010年頃。主人公トミー(イーサン・ホーク)は、かつてはF-16戦闘機に乗り、200回以上出撃して生還した優秀な米軍パイロットで、現在の勤務地はラスベガス近郊の空軍基地のオペレーションルーム。コンテナの“どこでもドア”を開けると、室内は中東。つまり、彼のチームは米国内の基地でドローンを遠隔操作し、1万キロ以上も離れた画面上の“中東”へ空対地ミサイル“ヘルファイア”を打ち込み、憎きタリバン兵を殺しているのだ。

goodkill3.jpg 任務とはいえ、敵とはいえ、何人もの人間をバラバラに吹っ飛ばした緊張感も解けないうちに、妻子の待つマイホームで夕食は楽しいバーベキュー。日常生活とのあまりの落差にトミーは違和感を覚えている。グラマラスな美人妻モリー(ジャニュアリー・ジョーンズ)との間もギクシャクして、今にも崩壊しそうだ。実機に乗っていた時は常に危険に晒されていたが、たまにしか会えない妻との関係は良好だった。以前とは比較にならないほど恵まれた職場に配属されたと言うのに、なぜ彼は沈んでいるのか?

上官ジョンズ(ブルース・グリーンウッド)は、ゲームセンター等でリクルートしてきた若きドローンパイロットの卵たちに繰り返し言って聞かせる。これは遊びのゲームではなく、戦争による殺人なのだと。軍はドローンに対する国内外からの批判も自覚しているが、タリバンを一掃するという使命感に燃えている。2001年の9.11アメリカ同時多発テロ事件を繰り返してはならないという、大義名分に支えられているのだ。

発射から着弾まで数秒のズレがあるため、標的以外の民間人を殺してしまう危険もある。CIAの特殊作戦では民間人を巻き込むリスクより、より多くのタリバンを殺す成果が優先される。向こうだってアメリカの民間人を殺しているからというのが理由。敵の民間人の被害より、自国の民間人の安全を守らなくてはならないという大義名分がある。

goodkill4.jpg どんな大義名分があろうと、自分のクリックひとつで人が死ぬ。敵ばかりでなく関係ない女性や子どもまで巻き添えにしてしまう。その現実に耐えられなくて、トミーのチームからもドラッグに溺れる者が出た。トミーもアルコールに溺れかけている。中東へ行かなくても家族が傍にいても、PTSD(心的外傷後ストレス障害)にかかってしまう。女性兵スアレス(ゾーイ・クラヴィッツ)も、これでは戦争が永遠に続くと批判的だ。全世界が抱いているドローンへの危惧が、彼女のセリフになっている。実際、ストレスに耐えかねて離職するパイロットは後を絶たないらしい。

PTSDにはならない方がいいけれど、クリック殺人が平気な兵士より、罪悪感を抱く兵士の方が正常と言える。ドローンを持
っているのは米軍だけではない。今後、ドローンによるテロは確実に起こるだろうし、小さいものだと見つけにくいから、爆発を未然に防ぐことも難しくなる。自爆テロとドローン・テロ、どちらが危険だろう。それでも米軍はドローンを使用し続けるべきなのか? 進化する現代戦争の実態と矛盾を描いたタイムリーな問題作。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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『キングスマン』お薦め映画

★★★★★ 2015年製作 英 (129 min)
【監督】マシュー・ヴォーン(キック・アス、X-MEN ファースト・ジェネレーション、レイヤー・ケーキ)
【出演者】
コリン・ファース(英国王のスピーチ、シングルマン、レイルウェイ 運命の旅路、ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月)
マイケル・ケイン(愛の落日 クワイエット・アメリカン、ミニミニ大作戦、ウォルター少年と、夏の休日、殺しのドレス)
サミュエル・L・ジャクソン(スネーク・フライト、交渉人、S.W.A.T.、シャフト)
タロン・エガートン、マーク・ストロング、ソフィア・ブテラ、マーク・ハミル
【あらすじ】ロンドンのサヴィル・ロウにある高級スーツ店「キングスマン」の裏の顔は、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関。 エリートスパイであるハリーは、欠員補充のため街のチンピラ、エグジーを見込んでスカウトする。 実はエグジーの亡父もキングスマンの一員だった。 一方、世界各地で重要人物の失踪事件が頻発。 IT企業家ヴァレンタインが、密かに人類抹殺計画を進めていた…。 スパイアクション。 R-15
原作:マーク・ミラー

『キングスマン』象のロケット
『キングスマン』作品を観た感想TB

画像(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation All rights reserved.

kingsman1.jpg 【解説と感想】一般的なサラリーマンの場合、クールビズが浸透した夏場以外はスーツを着ている方が多いだろう。若いうちは、いくらスタイルがよくてもスーツがあまり似合わない。給料が安くてスーツに金をかけられないせいもあるが、高級スーツを着ても中身が伴わないと、ちぐはぐな印象を受ける。年を重ねるのもいいものだ。だがスーツが似合うようになると、悲しいことにジーンズが似合わなくなってしまう。どちらもサマになるオシャレな男性が、あなたの周囲には何人いるだろうか?

kingsman2.jpg ロンドンの高級紳士服街サヴィル・ロウ(背広の語源だとも言われている)にある紳士服店「キングスマン」の実態は、どこの国にも属さない最強のスパイ機関。ハリー(コリン・ファース)は、チンピラ風の青年エグジー(タロン・エガートン)を、エージェント研修生としてスカウトした。ハリーも教官のマーリン(マーク・ストロング)も、エグジーの父の死によって命を救われた過去がある。

kingsman3.jpg まずは、ハリーが乱闘するときのスパイグッズに大笑いさせられ、一気に映画に引き込まれる。「今のスパイ映画はシリアス過ぎて…。」というセリフがあるが、ホント、ゲラゲラ笑わせてくれるスパイ・コメディ。肉片飛び散る流血シーンもマンガチックに処理されており、キモいがグロくないから、残虐シーンが苦手な方でも大丈夫だ。

エグジーが女性研修生ロキシー(ソフィー・クックソン)たちと共に過酷な試験を突破していく様子は、新人スパイの成長物語として楽しめる。貧しい育ちのエグジーは、家柄が良く高学歴な他のメンバーとは反りが合わない。騎士道精神に基づいた志の高いスパイ機関は、実は上から下までエリート意識バリバリの組織だった。しかし、騎士や紳士を作るのは家柄ではなく、本人の努力。エグジーはなにせ22歳、いかようにもなる“伸びしろ”があるのが強みである。

kingsman4.jpg 英国紳士然としたエージェントのハリー(コリン・ファース:54歳)は、ホレボレするほどスーツが似合っている! 服の仕立ての良さとそれを着こなす彼の所作に目が釘付けだ。教官のマーリン(マーク・ストロング:52歳)も同様で、渋い大人の色気が漂っている! スパイ研修生のエグジー(タロン・エガートン:25歳)は、まだまだ高級スーツよりヒップホップ系の若者ファッションが似合っている。気の毒なのは悪役ヴァレンタインを演じているサミュエル・L・ジャクソン(66歳)。実際は高級スーツが似合うセレブのはずだが、めちゃめちゃダサい、品のない成金アメリカ人に徹していて、拍手を送りたくなった!

では女性陣はというと、エグジーの母はうら若き未亡人だったが、17年後の崩れたオバサンぶりに唖然とさせられる! ヴァレンタインの秘書ガゼル(ソフィア・ブテラ)は、ツンとすました美女だが両足が刃物になっている恐ろしい殺人者! そして某国王女は、志は高いが下半身ユルすぎ! というわけで品格あるレディーは登場しな
いのだが、その分しっかり笑わせてくれる。続編があるなら是非、優等生のスパイ研修生ロキシーを、色香で敵を惑わす美女に変貌させて欲しい。

何度でも見たくなる、思いっきり楽しいスパイ・アクション・エンターテインメント、お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 22:21| Comment(0) | TrackBack(24) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする