2014年12月17日

『ベイマックス』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 米 (108 min)
【監督】ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
【出演者】
(声)ライアン・ポッター、スコット・アツィット、ダニエル・ヘニー、マーヤ・ルドルフ、他
(声)菅野美穂、小泉孝太郎、川島得愛、本城雄太郎、他
【あらすじ】美しい街サンフランソウキョウ。 幼い頃に両親を亡くした14歳の天才科学少年ヒロは、大学生の兄タダシと共に叔母キャスの家で暮らしていた。 タダシが事故で亡くなり部屋に閉じこもっていたヒロの前に、空気で膨らんだ白くて大きな体を持つベイマックスが現われる。 それはタダシが、人々の心とカラダを守るために開発したケア・ロボットだった。 ヒロは、ベイマックスや兄の友人たちと一緒に、兄の死の真相を探り始める…。 アニメーション。

『ベイマックス』象のロケット
『ベイマックス』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Disney. All rights reserved.

bighero.jpg 【解説と感想】歳末の街は、LEDの電飾で目も眩むほど華やかだ。見つめているだけでデートも盛り上がる。それもこれも、このほどノーベル賞を受賞した赤崎勇、天野浩、中村修二ら、多くの科学者のお蔭である。私たちは、今より更に便利な生活を常に待ち望んでいる。その期待に応えられるのも科学の力だ。ところが一方でそれら最先端の科学を、私利私欲のためにだけ利用しようとする悪人もいる。

本作の舞台は、アメリカのサンフランシスコと日本の東京がミックスしたような未来の都市サンフランソウキョウ。主人公は14歳の少年ヒロ。彼の家族は叔母キャスと大学生の兄タダシの2人だけ。ヒロは高すぎる知力を持て余し、ロボット・ファイターに熱中していた。だが兄が通うサンフランソウキョウ工科大学を見学し、科学の夢を追求したいと、飛び級での大学入学を志す。

タダシと陽気な仲間たちが研究に没頭している工科大学の研究室は、まるで遊園地だ。今にも手が届きそうな明るい未来が感じられて、ワクワクしてくる。
しかし残念なことに、前途有望な青年タダシは事故で死んでしまう。彼が残した白くて丸くて大きい“ベイマックス”は、人々の心とカラダを守るために働くケア・ロボット。ヒロの心の傷を癒そうと一生懸命だし、たいていの命令は聞いてくれるが、悪い命令には従わない。人間以上に良心があるロボットなのだ。

ロボットと少年の友情物語なのかと思ったら、犯人探しの謎解きサスペンス、正義のヒーローの活躍と、様相が変わっていき飽きさせない。画期的な発明を悪用したり、金儲けの道具にしたりする大人の醜さも描かれる。

ハイテクロボットなのに、空気しか入っていないように見えるベイマックスの動きはかなり鈍くて笑わせてくれる。だがプニュプニュのベイマックスにギュッと抱きしめられると、心がじんわり温かくなっていくようだ。両親や兄を亡くした寂しさは消えないが、ヒロは決して一人じゃないと、ベイマックスが教えてくれる。

私は字幕版で見たが、ラストに流れた日本版エンドソングはAIの2005年の大ヒット曲『STORY』の英語バージョン。ベイマックスとヒロのために作られたのではと思うほどピッタリの歌詞で、思わず泣きそうになった。

才能ある青少年も、一歩間違えば犯罪者になりかねない。合成薬物製造や、サイバー犯罪など、卓越した能力を正しく利用できなかった例だろう。落ちこぼれだけでなく頭の良すぎる子どものことも、周りの大人は気をつけて見てやらねばならない。本作ではそれを大人ではなくロボットがやってくれている。傷ついた少年の心を、優しさと愛で軌道修正してゆく心温まるSFファンタジー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2014年11月17日

『インターステラー』お薦め映画

★★★★★ 2014年製作 米 (169 min)
【監督】クリストファー・ノーラン(メメント、ダークナイト、プレステージ、ダークナイト ライジング)
【出演者】マシュー・マコノヒー(ダラス・バイヤーズクラブ、サハラ 死の砂漠を脱出せよ、サラマンダー、エドtv)
アン・ハサウェイ(プリティ・プリンセス、レイチェルの結婚、パッセンジャーズ、ゲット スマート)
ジェシカ・チャステイン(ゼロ・ダーク・サーティ、テイク・シェルター、ヘルプ 心がつなぐストーリー、ツリー・オブ・ライフ)
マッケンジー・フォイ、ジョン・リスゴー、マイケル・ケイン、エレン・バースティン
【あらすじ】近未来の地球。 植物が疫病に侵されて食糧供給が打撃を受け、社会は文明から遠ざかっていた。 元テスト・パイロットでエンジニアだった中年男クーパーは、今はトウモロコシを育てる農夫。 しかし、地球の寿命が尽きかけていることを知らされたクーパーは、パイロットに復帰することに。 その任務は、人類の移住先を見つけることだった…。 SFアクション・アドベンチャー。

『インターステラー』象のロケット
『インターステラー』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures All rights reserved.

INTERSTELLAR1.jpg 【解説と感想】近年、環境汚染が進み、地球の砂漠化、水不足が心配されている。農薬散布や遺伝子操作を行っても、作物はシナリオ通りには育たない。人口増加に食糧供給が追い付かない。医学が発達しても病人は増える一方で、エボラ熱やテング熱など新しい病気がどんどん出てくる。マスクをしないと出歩けない、空気清浄機や加湿器がないと眠れない、浄水器を通さないと水が飲めない世界なんて、考えてみるとおかしな話だ。もはや人間は、地球には住めなくなりつつあるのかもしれない。

INTERSTELLAR2.jpg 本作インターステラーの舞台は、近未来のアメリカ。科学技術が発達したハイテクの未来ではなく、戦前に逆戻りしたようなローテク社会。食糧供給が最重要課題であるため、宇宙飛行士だった主人公クーパー(マシュー・マコノヒー)も、今は義父(ジョン・リスゴー)の農場で農夫をしている。イザという時、一番大事なのは農業なのだ。しかし頑張っても頑張っても絶滅する品種が増えていく。次に絶滅するのは人間かという状況にまで来ていた。

クーパーの息子トム(ティモシー・シャラメ)は農場の跡継ぎを目指しているが、娘マーフ(マッケンジー・フォイ)は父親譲りのリケジョ(理系女子)。母親のいない多感な思春期の子どもたちを残し、身を切られるような思いでクーパーは宇宙へ旅立つ。それもこれも、子どもたちが安心して暮らせる新たな星を見つけるためだ。

宇宙戦艦ヤマトのように、人類の希望を託されたのは宇宙船エンデュランス号。数人の同乗者の中で、女性科学者アメリア(アン・ハサウェイ)は独身だが恋人がいるらしい。最終目的は恋人と安心して家庭を築ける未来のためだろうか。彼女を乗り込ませたのは父親のブランド教授(マイケル・ケイン)。クーパーもブランド教授も、人類そして愛するわが子のために、このミッションを絶対成功させなくてはと思っている。

途中で、子どものいない別の男性科学者が、自分は純粋に人類の未来のために任務を遂行するのだと言うシーンがある。彼の本心はともかく、私はここで問題を投げかけられているような気がした。現代社会でも環境問題や食品添加物に敏感なのは母親や母親予備軍の女性たちだ。愛するわが子のためなら、親は何だってやる。しかし社会のために、人は命をかけられるのか? 命を投げ打って他人を救った話が美談になるのは、そんな人が少ないからである。家族愛を人類愛にまで高めなければ、ゴミのポイ捨て、非常時の食品買い占め等はなくならないだろう。

INTERSTELLAR3.jpg のどかな農場、ハイテクな科学研究所、そして既に私たちが映像では見知ったつもりの宇宙、そして新たに発見された宇宙のワームホールの先の意外な世界が、リアルな映像で描かれるが、やはり見とれるのは地球の美しさ。時間の早さが地球と違う点もドラマティックだ。果たして地球に未来はあるのか? 移住先の惑星は見つかるのか? 人類は生き延びることができるのか? 思わぬところに敵がいて、クーパーの旅は困難を極める。

人類を絶滅に追いやりつつあるのは、ガミラス星人ではなく人間自身。環境汚染が進む地球への警鐘と、人類を救うのは科学ではなく、愛という未知なる力だというメッセージが込められたSFアクション大作。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 

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2014年10月30日

『ザ・ゲスト』お薦め映画

★★★★★ 2014年製作 米 (100 min)
【監督】アダム・ウィンガード(サプライズ
【出演者】
ダン・スティーヴンス
マイカ・モンロー(とらわれて夏
ブレンダン・マイヤー、シーラ・ケリー、リーランド・オーサー、チェイス・ウィリアムソン、ジョエル・デヴィッド・ムーア
【あらすじ】ハロウィン間近のある日、デイヴィッドと名乗る男がピーターソン家を訪れる。 彼は、イラク戦争で戦死した長男ケイレブの戦友で、「家族のことを頼む。 愛していたと伝えてくれ。」との遺言を預かったのだという。 感激した一家は、彼にしばらく滞在するようにと勧める。 しかし、デイヴィッドが現れてから、町で不可解な事件が頻発していた…。 サスペンス・スリラー。 ≪この訪問者(ゲスト)には、想像を超えた<裏>がある。≫ R-15
脚本:サイモン・バレット

『ザ・ゲスト』象のロケット
『ザ・ゲスト』作品を観た感想TB
画像(C)2013 Adam David Productions All rights reserved.

guest1.jpg 【解説と感想】個人情報保護が叫ばれるようになってから、むやみに名簿が作られなくなった。NTTの電話帳に載せない人も多い。旧友の実家に電話しても、すぐには連絡先を教えてくれない。だから今、見知らぬ来訪者を簡単に家に入れたりはしないのだ、普通は。

本作の舞台は、アメリカ西部の町モリアーティ。イラク戦争に出兵した長男ケイレブを亡くしたピーターソン家を、戦友だったという青年デイヴィッド(ダン・スティーヴンス)が訪れる。息子を亡くした母親なら感激して「まあ! どうぞ、お入りになって。」と、お茶でも入れて、死んだ息子の話を聞きたくなるだろう。

家の中には、息子と一緒に写っているデイヴィッドの写真も飾ってあり、戦友という話が嘘でないことがわかる。「家族のことを頼む、愛していたと伝えてくれ。」という息子の遺言を預かったと言われたら、もう歓待しないわけにはいかない。デイヴィッドは礼儀正しく話し上手で、まるで死んだ息子が帰って来たように一家は華やぐ。

「家族のことを頼む。」と言われたからなのか、母親(シーラ・ケリー)、父親(リーランド・オーサー)の話し相手のみならず、妹アナ(マイカ・モンロー)や弟ルーク(ブレンダン・マイヤー)の交友関係にまで気を配るデイヴィッド。腕っぷしも強く頼れるアニキで、おまけにハンサム。もう非の打ちどころがない男なのだが、完璧すぎてどこか変。何かが起こる気配が、ヒタ、ヒタ、ヒタ、と近づいてくる様が不気味で、まだ何も始まらないうちから恐ろしいのである。

来て間もないというのに、なぜかデイヴィッドは家族それぞれの悩み事を全て把握している。胡散臭いが性格は悪くなさそう。とても悪人には見えない。
「彼はいったい何者なのか?」そう思った時には既にもう、これから何が起こってもトコトン彼の味方になってやろうと私は覚悟を決めていた。きっと、一家の母親も同じ気持ちだっただろう。これは、金を騙し取られても詐欺師を恨まない被害者の心境に似ている。観客はデイヴィッドというキャラクターに魅了され、取り込まれてしまうのだ。

さて、ではいったい何が起こるのか? それは見てのお楽しみ。あまり内容に触れない方がいいと思うので、これ以上は差し控える。それでも、監督の前作「サプライズ」を超える面白さだということを、是非とも述べておきたい。なお、監督は「ターミネーター(84)」と「ハロウィン(78)」に“ひらめきを受けた”のだという。

はじまりの薄気味の悪さから怒涛のラストまで、ずっとハラハラしっぱなし。魅力的でヤバい謎の訪問者から目が離せない、大満足のサスペンス・アクション・スリラー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)
 

 
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2014年09月12日

『るろうに剣心 伝説の最期編』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 日 (135 min)
【監督】大友啓史(るろうに剣心 京都大火編、映画 ハゲタカ、プラチナデータ、るろうに剣心)
【出演者】
佐藤健(るろうに剣心 京都大火編、カノジョは嘘を愛しすぎてる、るろうに剣心、劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事)
武井咲(クローバー、るろうに剣心 京都大火編、今日、恋をはじめます、るろうに剣心)
藤原竜也(るろうに剣心 京都大火編、DEATH NOTE デスノート、バトル・ロワイアル、DEATH NOTE デスノート the Last name)
福山雅治、江口洋介、伊勢谷友介、青木崇高

【あらすじ】浜辺に打ち上げられた剣心を助けたのは、師匠・比古清十郎だった。 今の自分では志々雄を倒せないと悟った剣心は、飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)の奥義伝授を清十郎に懇願する。 一方、剣心が生きていることを知った志々雄は、黒船から攻撃を仕掛け、政府に剣心の公開処刑を要求する…。 剣客アクション・ロマン。

原作:和月伸宏『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(コミック)

『るろうに剣心 伝説の最期編』象のロケット
『るろうに剣心 伝説の最期編』作品を観た感想TB

画像(C)和月伸宏/集英社 (c)2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

rurou1.jpg 【解説と感想】明治初期の東京。主人公・緋村剣心:ひむらけんしん(佐藤健)は、“人斬り抜刀斎(ばっとうさい)”と呼ばれた、討幕派の元暗殺者。まだ若いのに、この世の終わりのような顔をしている。彼の周りにいる、女道場主・薫(武井咲)、喧嘩屋・左之助(青木崇高)、女医・恵(蒼井優)らも、維新後の生き方を模索中の若者たちだ。

rurou2.jpg 剣心の敵となるのは、剣心と同じく維新に貢献した元暗殺者の志々雄真実:ししおまこと(藤原竜也)。彼は自分を使い捨てにした明治政府への復讐を誓い、なぜか軍艦まで持っている。この時期、暴動や政府転覆を志した者は多いが、実行に移した者は少なかった。

一方、うまく新時代に対応したのが、警官になった元新撰組・斎藤(江口洋介)、旅館を営む元御庭番の翁(田中泯)らで、彼らは新しい居場所を見つけたが、翁の元部下・蒼紫:あおし(伊勢谷友介)だけが、時代を受け入れられず、剣心を狙っている。

9月20日公開の『柘榴坂の仇討(ざくろざかのあだうち)』も、明治の世に適応できないでいる元武士たちの物語だ。武家の長男は、代々同じ藩(会社)に仕える。問題は多々あったにせよ、安定していたサラリーマン武家社会がガラリと変わったのが、廃藩置県で幕藩体制が終わった明治だった。路頭に迷う下級武士たちの姿が、終身雇用制や年功序列制が崩壊し、ハローワークへ通う中高年の姿と重なって見えてくる。

rurou5.jpg ところで、注目されているのが、本作のアクションシーンである。アクション監督の谷垣健治氏はジャッキー・チェンに憧れて香港へ渡った人物だという。殺陣のシーンが、従来の時代劇とはかなり違う。剣心は、目にも止まらぬ速さで走り、高速回転し、飛び跳ねるが、鼻につくわざとらしいCGアクションとは全然違う。あり得ない動きをリアルに見せてくれるので、爽快感があって、カッコイイ。

rurou3.jpg コミックが原作の「るろうに剣心」シリーズは、若者を中心に大人気だ。主役をはじめ、人気若手俳優が多数登場するし、なかなか進展しない剣心と薫の恋の行方も気になる。何より、世相を絡めたストーリーがテンポよく進み、コミカルな場面もちゃんとあって、長編なのに飽きさせない。剣心の顔アップも心憎い演出だ。これが21世紀の新しい時代劇、新しい殺陣なのかもしれない。

rurou4.jpg もはや自分が生きる時代ではないと思っていた剣心だったが、師匠の比古清十郎(福山雅治)の元で、もう一度修行をやり直す。人を斬れない逆刃刀(さかばとう)で、武士の世にとどめを刺すべく最後の戦いに挑むのだ。剣豪・剣心がそこまで準備しなければ戦えない相手・志々雄との真剣勝負に、否が応でも期待が高まる。しかしだ、終盤の大立ち回りは、宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の決闘」のような勝負ではない。ここは、好き嫌いが分かれると思う。私はそこに、建前を重視する武士の世の終焉と、手段を選ばぬ「勝てば官軍」の世の到来を感じてしまった。今後、「るろうに」効果で、時代劇はどんどん変わっていくことだろう。

様々な時代の転換期を、日本はちゃんと乗り越えてきた。この先、世の中のしくみがどう変わろうと、私たちはきっと生きていける。そんな希望を感じさせてくれる、お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
 
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2014年08月01日

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』お薦め映画

★★★★★ 2014年製作 米 (131 min)
【監督】マット・リーヴス(モールス、クローバーフィールド/HAKAISHA、ハッピィブルー)
【出演者】
アンディ・サーキス(猿の惑星:創世記(ジェネシス)、キング・コング、タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密、アレックス・ライダー)
ジェイソン・クラーク(ゼロ・ダーク・サーティ、ホワイトハウス・ダウン、華麗なるギャツビー、パブリック・エネミーズ)
ゲイリー・オールドマン(ドラキュラ、裏切りのサーカス、シド・アンド・ナンシー、エアフォース・ワン)
ケリー・ラッセル、コディ・スミット=マクフィー、トビー・ケベル、ジュディ・グリアー
【あらすじ】天性のリーダーシップで2000頭の猿を統率するシーザーは、サンフランシスコ郊外の森の奥深くに、巨大なコミュニティを築き上げていた。 一方、10年前に世界的に拡散したウイルスの影響で人類の大半は死滅しており、免疫を持つわずかな生存者たちが、荒廃したサンフランシスコ都市部で共同生活を送っていた。 互いの存在を忘れつつあった人間と猿は森で遭遇し、互いにパニックに陥ってしまう…。 SFスリラー。

『猿の惑星:新世紀(ライジング)』象のロケット
『猿の惑星:新世紀(ライジング)』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Twentieth Century Fox All rights reserved.

dawnapes1.jpg 【解説と感想】人間が高度な知能を持つ猿に支配される前代未聞の世界観を描いたSF映画の傑作『猿の惑星』(1968年製作)。元祖『ゴジラ』(1954年製作)同様、今見てもオリジナルの素晴らしさに恐れ入ってしまう名作である。また、何度続編が作られても面白いのがすごい。本作は、なぜ人類の文明は崩壊し、猿が支配者になったのかという大きな謎、「猿の惑星」の起源に迫る新シリーズの第2弾だ。

前作で、サンフランシスコの製薬会社ジェネシスの研究所に勤める若き神経科学者ウィル(ジェームズ・フランコ)と、彼が可愛がって育てた高知能猿シーザー(アンディ・サーキス)は、悲しくも袂を分かつことになってしまった。(今回ウィルの登場は写真のみ。)

dawnapes2.jpg 本作は、それから10年後のサンフランシスコが舞台。猿は郊外の森で、人間は廃墟となった市街地で、それぞれが互いの存在を知らずに暮らしている。知らぬが仏の平和的共存だったが、偶然顔を合わせた時の両者の驚きと言ったら、互いに声も出ない有り様。戦争は不安と恐怖から始まる。最近の緊迫した政治状況が思い浮かぶ。

猿のオスは狩りをし、メスは子育てをする。簡単な言葉を話し、住居は樹木で作った素朴なもので、ほぼ旧石器時代の原人の生活に等しい。ここから人類が文明を持った現代人になるまでには100万年以上かかったが、この猿たちの場合、知能が高いので、あっという間に現代人に追いつきそうだ。もっとも、猿らしい一面もあり、ボス猿シーザーの頭と腕っぷしの強さに、2000匹のサルが絶対服従している。時には反抗的なオスをブッ飛ばすことも、ボスの強さをアピールするためには必要なのだ。

dawnapes3.jpg 前作より使われている、俳優の動きを取り込む撮影技術も更に進化。今回は木々が生い茂る森に3Dカメラ、モーション・キャプチャー・カメラを設置し、50人の役者が猿として森をうろつく姿を撮影したという。表情や動きがリアルで、猿それぞれの顔が違う。特にシーザーはハンサムで、強烈なカリスマオーラが漂っている。残念ながら、シーザーの妻コーネリア(ジュディ・グリア)は、美女には見えなかった。シーザーの片腕のコバ(トビー・ケベル)ときたら、悪の親玉のような人(猿?)相。俳優と猿のルックスは、必ずしも一致しているわけではないらしい。この最先端技術を駆使した映像と、練りに練られたストーリーのお蔭で、猿がしゃべっても、馬に乗っても、銃を構えても、現実味を帯びた物語として受け止めることができる。

人(猿?)格者のシーザーは、人間との外交交渉にも硬軟使い分けた政治手腕を発揮する。一方、生き残ったわずかな人類を率いるリーダー、ドレイファス(ゲイリー・オールドマン)には、最初から猿を殺す発想しかない。リーダーのレベルからして、既に人類は猿に負けている。ああ、情けない!

電力不足解消のため、人間が森の古いダムを訪れたせいで、サルとヒトは望まぬ再会を果たした。現代人は、電力なしでは生活が成り立たない。戦いも武器に頼るしかない。裸では暮らせない。不便な生活への不満が蓄積し元気がない。身一つでも森で暮らせる猿とは大違いで、文明に毒された私たち人間が哀れに思えてくる。

シーザーと、彼と心を通わせる人間マルコム(ジェイソン・クラーク)は、猿と人間の平和的共存を願っている。しかし、人間と猿の一部の者たちが暴走し、今にも両者の戦争が始まろうとしている。勢いのある「これからの猿」と、落ち目の「終わりつつある人間」は、もう戦うしかないのだろうか? 好奇心を掻き立てるSFスリラー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
posted by 象のロケット at 22:50| Comment(0) | TrackBack(10) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする