2015年07月07日

『ターミネーター :新起動/ジェニシス』お薦め映画

★★★★★ 2015年製作 米 (126 min)
【監督】アラン・テイラー(マイティ・ソー ダーク・ワールド)
【出演者】
アーノルド・シュワルツェネッガー(エンド・オブ・デイズ、ターミネーター、ターミネーター2、トータル・リコール)
ジェイソン・クラーク(チャイルド44 森に消えた子供たち、ゼロ・ダーク・サーティ、猿の惑星:新世紀(ライジング)、ホワイトハウス・ダウン)
エミリア・クラーク、ジェイ・コートニー、J・K・シモンズ、マット・スミス、イ・ビョンホン
【あらすじ】2029年、ロサンゼルス。 敗北を悟った人工知能の機械軍は、人類抵抗軍のリーダーであるジョン・コナーの母サラ・コナーを殺すため、1984年にターミネーターを送り込んだ。 サラを守るため1984年に飛んだカイル・リースは、事前情報と違って逞しい女戦士サラと出会う。 しかも彼女の相棒は、中年男に見える古いT-800ターミネーターだった…。 傑作SFアクション第5弾。 ≪未来を取り戻せ。≫

『ターミネーター :新起動/ジェニシス』象のロケット
『ターミネーター :新起動/ジェニシス』作品を観た感想TB

画像(C)2015 Paramount Pictures. All rights reserved.

genisys1.jpg 【解説と感想】「シュワちゃん」の愛称で親しまれているアーノルド・シュワルツェネッガーが、ターミネーターとして帰って来た! あの重厚なテーマ曲を真っ暗な劇場で聴きたい! 『アイルビーバック(I'll be back!) また戻ってくる』を聞きたい! そう待ち望むファンは、私を含め多かったことだろう。あんまり受けるものだから、彼は他の映画作品内や記者会見でも決めゼリフにしている。何度聞いても笑顔になってしまう。

さて、本作導入部の時代設定は2029年。人類抵抗軍リーダーであるジョン:コナー(ジェイソン・クラーク)の生母サラ・コナー(エミリア・クラーク)が、人工知能機械軍に抹殺されるのを阻止するため、抵抗軍のカイル・リース(ジェイ・コートニー)が1984年に送り込まれるのは、懐かしの第1作「ターミネーター(1984年公開)」と同じである。だがカイルが到着するのは、1作目とは少し違う1984年。タイムトラベラーたちの影響で、過去が多少変わってしまったのだ。過去シリーズを見ていない初めての方、または、全部見たけどほぼ忘れてしまったという方も、話についていけるのでご安心を。

genisys2.jpg 一番気になるのが、人工知能(AI)搭載のアンドロイドであるはずのターミネーターT-800を演じるアーノルド・シュワルツェネッガーが、67才であること。機械が年を取っちゃっていいの? という点をどうクリアするのかの確認は、ぜひ劇場で。ターミネーターT-800ことシュワちゃんのセリフ「待ちくたびれたぜ!」「俺は古いが、ポンコツじゃない。」には笑った! そして頭が下がる気もした。期待に応え観客を楽しませるために、当然と言えばそれまでだが、彼はものすごく頑張っている。何歳になろうと、やはり、シュワちゃん抜きのターミネーターはあり得ない。

genisys3.jpg かつてアーノルド・シュワルツェネッガーは、世界最高峰のボディービル大会ミスター・オリンピアで、6回連続チャンピオンだった。30年前の「ターミネーター」の頃の肉体は人間離れしていて、まさにロボット! 本作のターミネーターT-800は外見は“古い”が、様々な世界を見て学習し続けた結果、“人間的”な味わいが出てきた。人間も人工知能も時を経て進化し、魅力が増すのだ。

genisys4.jpg シュワちゃん演じるターミネーターT-800以外にも、個性的なアンドロイドが登場する。まずは「ターミネーター2」にも登場した液体金属型のT-1000型(イ・ビョンホン)で、一番機械っぽく見える。そして、最大の敵が人間っぽい新型ターミネーターT-3000。戦闘能力もさることながら、一番恐ろしいのはその中身。「チャッピー」「アベンジャーズ /エイジ・オブ・ウルトロン」など、SF映画の中で発せられる人工知能への警告メッセージを全世界の人々が受け止めることで、果たして人類の未来は軌道修正されていくのだろうか? T-3000の詳細については、ここではあまり書かないでおく。

genisys5.jpg 母と息子の愛(サラとジョン)、男女の愛(サラとカイル)はシリーズで一貫しているが、更に、父と娘のような愛(ターミネーターT-800とサラ)、同志としての愛&父と子の愛(ジョンとカイル)、登場人物たちの人類愛、シュワちゃんの観客への愛、製作者側の過去作特に「ターミネーター2」への敬愛が感じられた。これだけの愛がいっぱい詰まった作品である。一観客である私は、全てを受け入れて本作を愛し、人工知能と既にそばにいるかもしれない新型ターミネーターに気をつけよう。きっとシュワちゃんは、“また戻ってくる”。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年06月25日

『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』お薦め映画

★★★★ 2015年製作 米 (141 min)
【監督】ジョス・ウェドン(アベンジャーズ)
【出演者】
ロバート・ダウニー・Jr.(アイアンマン、アイアンマン3、アベンジャーズ、オンリー・ユー)
クリス・ヘムズワース(ラッシュ プライドと友情、マイティ・ソー ダーク・ワールド、マイティ・ソー、ブラックハット)
マーク・ラファロ(アベンジャーズ、シャッターアイランド、ZODIAC、ブラインドネス)
クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・レナー、サミュエル・L・ジャクソン
【あらすじ】悪の秘密組織ヒドラ党殲滅のために結集したアベンジャーズ。 しかしヒドラ党の人間兵器、ワンダ(女)とピエトロ(男)という双子の特殊能力により、大きなダメージを負ってしまう。 将来への不安に襲われたアイアンマンことトニー・スタークは、人工知能による完璧な平和維持システム“ウルトロン計画”を考案する。 ところが、愛なき人工知能“ウルトロン”は暴走し、驚異的な速さで人類を脅かす存在へと成長してゆく…。 スーパーヒーロー・アクション第2弾。

『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』象のロケット
『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』作品を観た感想TB

画像(C)Marvel 2015 All rights reserved.

ultron1.jpg 【解説と感想】公開中の「トゥモローランド」は、子ども向け作品にも見えるが、実は大人向けの秘密が隠されているらしい…という噂だ。私は深読み情報通ではないので、ノーテンキに映画を楽しんだだけだが、それでも前向きメッセージはしっかり受け取った。鑑賞後は、夢と希望、勇気と努力が明るい未来を作るのだと、幸せな気持ちでいっぱいになった。

ところが、同じディズニー配給でもうすぐ公開となる本作「アベンジャーズ /エイジ・オブ・ウルトロン」の鑑賞後は、地球の将来が心配になって来た。「このままではアベンジャーズも人類も滅亡してしまうから、万全の備えをしておかねばならない。」という不安に襲われるアイアンマンと、観客である私の気持ちがシンクロしてしまったのだ。更に、良くも悪くも「思ったことが現実化する」という、いわゆる「引き寄せの法則」が頭をよぎる。もちろん映画の神様は、意図的にこの2作品を続けて公開させたのだろう。

本作は、日本でも絶大な人気を誇るアメコミヒーローたちが勢揃いして悪と戦う人気作品の第2弾。前作「アベンジャーズ」は、「日本よ、これが映画だ。」という自信満々なキャッチコピーと、ド派手なアクションが話題となった。今回も大掛かりなアクション満載で、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」同様、もうそれだけで「面白かった〜!」と言えるエンターテインメント作品である。

お騒がせ男アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、人工知能による完璧な平和維持システム“ウルトロン計画”を考案する。しかし人工知能は暴走し、人類最大の敵となってしまう。つまりアベンジャーズ自らがウッカリ人類の敵を作ってしまい、総力を挙げて尻拭いに奔走するという、笑えるが笑えないスタートなのだ。

現在公開中の「チャッピー」、本作「アベンジャーズ /エイジ・オブ・ウルトロン」、間もなく公開される「ターミネーター :新起動/ジェニシス」と、ここまで続くと、もはや人工知能(AI)は人類最大の敵という烙印を押されたも同然である。それだけAIの暴走を危惧する人が多いということだ。ところが、人類最大の敵はAIではなく人類であるという事実に、私たち自身も気づいてしまう。危険な物を作り出すのも、無意味な殺し合いをするのも、環境を破壊するのも、地球上で人類だけ。ウルトロンが言う通り、人類を滅亡させれば問題はすべて解決するのではと思えてくるから怖い。

人工知能、海外派兵、自然災害、原子力発電、MERSウイルス等の世界的な問題から、個人的なトラブルまで、私たちは次から次に大変な問題に直面する。そんな時、「トゥモローランド」的に「まだ間に合うぞ〜!」と思うか、「アベンジャーズ」的に「もうヤバイぞ〜!」と思うか、あなたはどちらの方が、より頑張れるだろうか?

今回は敵に惑わされ、ヒーローそれぞれの人間臭さと弱さが浮き彫りとなる。ヒーローも無敵ではなく、悩みもするし、間違いも犯す。そんな姿も魅力的だが、やはりワクワクするのは、めちゃかっこいいバトルシーン! アベンジャーズが抜群のチームワークと決死の覚悟で人類滅亡の危機に立ち向かう、壮大なSFアクション。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年06月02日

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』お薦め映画

★★★★★ 2015年製作 オーストラリア・米 (120 min)
【監督】ジョージ・ミラー(マッドマックス、マッドマックス2、ハッピー フィート、ベイブ・都会へ行く)
【出演者】
トム・ハーディー(チャイルド44 森に消えた子供たち、オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分、ダークナイト ライジング、スター・トレック ネメシス)
シャーリーズ・セロン(スタンドアップ、モンスター、ヤング≒アダルト、マイティ・ジョー)
ニコラス・ホルト(ウォーム・ボディーズ、ジャックと天空の巨人、アバウト・ア・ボーイ、X-MEN ファースト・ジェネレーション)
ヒュー・キース・バーン、ゾーイ・イザベラ・クラヴィッツ、ロージー・ハンティントン・ホワイトレイ、ライリー・キーオ
【あらすじ】電力はなく、石油、水、食糧は尽きかけ、大気は汚染され、無法地帯と化した世界。 愛する家族を失った元警官マックスは、ただ本能だけで生き長らえていた。 資源を独占し、恐怖と暴力で民衆を支配するジョーの略奪軍団に捕われたマックスは、ジョーの右腕でありながら反逆を企てた女性フュリオサ、配下の全身白塗りの男ニュークスと共に、ジョーに捕われていた美女たちを引き連れ、自由への逃走を開始する…。 バイオレンス・アクション。 R-15

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』象のロケット
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』作品を観た感想TB

画像(C)2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED All rights reserved.

madmax1.JPG 【解説と感想】主演作の公開が相次ぎ、ノリにノッている俳優トム・ハーディ。
6月27日公開「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」は、一人芝居のようなワンシチュエーション・サスペンス。終始緊張が途切れない演技は見事だった。
7月3日公開「チャイルド44 森に消えた子供たち」は、連続誘拐殺人事件の話。ソ連エリート捜査官の、悪に立ち向かう執念を見せつけてくれた。
そして、6月20日公開の本作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」では、主人公マックスを演じている。しばらくは猿ぐつわで拘束されていて顔が良く見えないが、その隙間から、絶望した男の孤独感を漂わせている。それでも彼はまだ、死にたくはないようだ。

madmax2.jpg 放浪中のマックスは、砂漠でイモータン・ジョー率いる略奪軍団に拉致され、健康な血液を採取するための家畜人間にされてしまう。そこにはニュークス(ニコラス・ホルト:白塗りで顔がよく分からない!)ら、イカレた白塗りの戦闘員“ウォー・ボーイ”たちがいる。片腕のない女隊長フュリオサ(シャーリーズ・セロン:坊主頭と黒塗りで顔がよく分からない!)はジョーを裏切り、“子産み女”として囲われていた美女たちと共にジョーのディストピア(暗黒郷)を逃げ出し、緑のユートピア(桃源郷)を目指す。男たちは、女たちをどこまでもどこまでも追いかけていく。

madmax3.jpg これまでの経過説明がないので、一応過去の「マッドマックス」シリーズの内容を説明すると、警官だったマックスは妻子を殺されてから放浪の旅を続けており、世界は核戦争で既に崩壊し、資源は枯渇している。だが、過去作を見ていなくても十分楽しめるので、ご安心を。資源が尽き環境が悪化した世界だというのに、戦闘車やバイクが走る走る。戦士たちは捨て身で飛び掛かって来る。なぜか戦場でギター演奏が始まる。ガソリンどこで手に入れたのー? 体力ないんじゃなかったのー? 楽器がなんで火を吹くのー? 美女たちオシャレすぎー! 何食べて生きてんのー? なんて突っ込みも頭に浮かぶが、とにかく爆音の中、ずーっと“アドレナリンMADMAX”で闘っているので、息つく暇はないのである。

madmax4.JPG 何もない世界でも、ジョーは豊かな生活を送り、庶民は水すら満足に飲めない。暴力への恐怖と物資への渇望が、人を支配し動かしている。文明社会が崩壊してもなお、支配する側とされる側の力関係は変わらないのだ。だが絶望だけでは生きていけない。戦うだけの毎日を送っていた女戦士フュリオサと、子を産まされるだけだった美女たちは、自由を求めて戦うことを選んだ。一方、放浪しているだけの男マックスは、わずかばかり残った正義感で悪と戦うことを選んだ。しかし、ユートピアなんて本当にあるのだろうか? 私たち現代人に、何かを伝えているようにも見える。 

本作は難しいこと抜きで、とことん欲望・暴力VS希望・正義の命がけのアクションを楽しむ作品だ。CGよりリアルなアクションを重視したという砂漠での戦闘シーンは凄まじく、まさに地獄行きのデスロード! 男たちは狂ったように攻撃を仕掛けてくる。鑑賞中はクヨクヨした悩みなぞ、パッキーンと吹っ飛んで行ってしまう。ストレス解消度もMADMAXのアクション大作。お薦め作品だ。※鑑賞後は暴走注意! 安全運転でお帰り下さい。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
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2015年05月07日

『チャッピー』お薦め映画

★★★★★ 2015年製作 米・メキシコ (120 min)
【監督】ニール・ブロムカンプ(第9地区、エリジウム)
【出演者】
シャールト・コプリー(第9地区、マレフィセント、特攻野郎 Aチーム THE MOVIE、エリジウム)
デーヴ・パテル(スラムドッグ$ミリオネア、エアベンダー、マリーゴールド・ホテルで会いましょう)
ニンジャ
ヨーランディ・ヴィッサー、ホセ・パブロ・カンティージョ、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー
【あらすじ】2016年、犯罪多発地区の南アフリカ・ヨハネスブルグ。 兵器企業テトラバール社の開発者である青年ディオンは、自分自身で“感じ、考え、成長する”AI(人工知能)を、上司に無断でロボットに搭載する。 ところが、ディオンとそのロボット“チャッピー”は、ストリート・ギャングに誘拐され、まっさらな状態のチャッピーは、ギャングの“子ども”として育てられる。 やがて、チャッピーは“人類の敵”として狙われることに…。 SFアクション。

『チャッピー』象のロケット
『チャッピー』作品を観た感想TB

画像(C)2014 CTMG, Inc. All rights reserved.

chappie4.jpg 【解説と感想】仕事が出来る人ほど、不可能に挑戦してみたくなるものらしい。腕試ししたくても、ニセ札作りや盗聴やハッキングは犯罪だ。臓器移植やクローン技術や美容整形は、病気や怪我で苦しむ人を助けられるが、倫理的な観点から異議を唱える人もいる。ではAI(人工知能)はというと、現在は “考える”家電や作業用ロボット、データ分析ツールとして活躍中。更に進化し“自由意思”を持ってしまったAIは、人類の敵か、味方か? という問題を投げかけるのが本作「チャッピー」である。

chappie2.jpg 犯罪多発地域の南アフリカ・ヨハネスブルグでは、治安維持に兵器ロボットが大活躍している。ロボットを開発した青年ディオン(デーヴ・パテル)は兵器会社テトラバール社のエース的存在で、同僚の科学者ヴィンセント(ヒュー・ジャックマン)から妬まれている。ある日、更なる開発実験の誘惑に駆られたディオンは、上司(シガニー・ウィーヴァー)に無断で、スクラップ寸前のロボットにAI(人工知能)を搭載させてしまう。

chappie1.jpg 人工知能は自分で“感じ、考え、成長する”が、最初は初期化したパソコンと同じで、まっさらな赤ちゃん状態。チャッピーの“創造主”である開発者ディオンは、人間の良心を叩きこみ、じっくり「良い子」に育てる予定だったが、チャッピーはストリート・ギャングに誘拐されてしまう。“ママ”である“ヨーランディ”からは優しさや愛を、“パパ”である“ニンジャ”からは荒っぽいギャングの言葉や盗みを教えられ、少々「悪い子」に育ってしまった。(パパ・ママを演じているのは南アフリカのラップグループ「ダイ・アントワード」のメンバーで、それぞれのアーティスト名が役名になっている。)

まず面白いのは、チャッピーの成長過程である。「第9地区」でお馴染みの俳優シャールト・コプリーが、モーションキャプチャー技術を駆使して演じているチャッピーの動きと声がユニークで微笑ましい。ロボットなので見た目の大きさは同じなのに、赤ちゃんから少年、逞しい青年へと成長していく様子がよくわかる。赤ちゃんチャッピーはムチャクチャ可愛いくて、私もペットとして一匹欲しくなった。金儲けに利用するつもりだったパパとママが、次第にチャッピーに情が移っていくのも無理はない。

次に、時代設定が来年の2016年であることが、AIロボットの是非について考えさせてくれる。人間よりずっと丈夫でずっと学習能力の高いロボットが、人間の指示で動いている間は「味方」だが、感情まで持ってしまったら、天使にも悪魔にもなり得る。人間よりも能力があって人間が制御出来ないものは「敵」と見なされるのがSF映画のお約束。しかし現実社会では、人間の経験や判断を差し置いて、今やAIが膨大な蓄積データから割り出した未来予測が、各分野で活用されつつある。人類がAIに凌駕される日が、本当にやって来そうなのだ。クローンを作れても作らないという医療倫理と同じく、そろそろ人間とロボットの役割区分や線引きをはっきりさせるべき時が来ているのかもしれない。

chappie3.jpg 終盤の光景は、かなり衝撃的だ。ワクワクもするし、怖い気もする。ひょっとしたら、もうこんなロボットが世界のどこかにいるのではないかと思えてくる。「第9地区」と同じく、次回作を期待させる思わせぶりな終わり方だった。人間が作って育てたAIロボット・チャッピーが人間を変え、更にはロボット自体を変えていく、恐るべき近々未来SFアクション。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年04月02日

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 米・カナダ (120 min)
【監督】アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(バベル、BIUTIFUL ビューティフル、21g)
【出演者】マイケル・キートン(ビートルジュース、クローンズ、ザ・ペーパー、バットマン)
ザック・ガリフィアナキス(ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い、ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える、スパイアニマル・Gフォース、デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断)
エドワード・ノートン(幻影師アイゼンハイム、25時、僕たちのアナ・バナナ、インクレディブル ハルク)
アンドレア・ライズブロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ
【あらすじ】シリーズ終了から20年経った今でも、世界中で大人気のスーパーヒーロー映画“バードマン”。 だがバードマン役で大スターになった男リーガンは、仕事も家庭も失い失意のどん底にいた。 リーガンは再起をかけ、自身の脚色・演出・主演でブロードウェイの舞台に立つことを決意する。 ところが俳優の一人が降板。 代役として現れたマイクは実力派だが、とんでもないトラブルメーカーだった…。 ブラック・コメディ。
アカデミー賞作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』象のロケット
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Twentieth Century Fox All rights reserved.

birdman1.jpg 【解説と感想】本作の主人公は、「バードマン」というヒーロー映画のシリーズで世界的大スターとなった中高年の俳優リーガン(マイケル・キートン)。シリーズが終了して20年経つが、「バードマン」ほどのヒット作には恵まれていない。世間からも家族からも散々な扱いを受けているのだが、私にはいいお父さんにしか見えなかった。

birdman2.jpg 薬物依存から脱却中の一人娘サム(エマ・ストーン)は今、更生のためリーガンの付き人をしている。彼女は父が俳優として終わっていると決めつけ、自分がこうなったのも父のせいだと言わんばかり。何でも親のせいにするな! 少しは応援しろよと言いたくなる。愛する娘に尊敬されないなんて、父親として辛いよなぁ…。

この20年、全く仕事をしなかったわけではないだろう。大きい借金もなく、犯罪者でもない。薬物・アルコール・ギャンブルの依存症でもない。リーガンは再起をかけ、自身の脚色・演出・主演でブロードウェイの舞台に立つことを決意したのだが、周囲の目は冷たい。遊園地建設や宇宙遊泳ではなく、きちんと本業で勝負しようとしている真面目な俳優だというのに…。

その舞台劇の原作は、レイモンド・カーヴァーの短編「愛について語るときに我々の語ること」。インテリ好みの文芸作品で、アクション俳優のリーガンに洗練された会話劇なんて出来るわけないと揶揄されている。自分で脚色するくらいだから、多少の素養はあるに違いない。いいじゃないか、冒険したって。ひょっとしたら、うまく行くかもしれないでしょ?

birdman3.jpg 舞台経験ゼロのリーガンがブロードウェイで主演できるのは、「バードマン」の知名度のおかげ。ところが、実力派の舞台俳優マイク(エドワード・ノートン)はデカい顔をするし、ハリウッドが大嫌いな舞台批評家タビサ(リンゼイ・ダンカン)からは、まだ見てもいないのにコケにされてしまう。しかし、一作でも世に知られた主演作品があるのは俳優として幸せなこと。今までパパラッチにも耐えてきたはず。有名人であることを利用したっていいじゃないか。まずは客が来なければ始まらないのである。

劇中のブロードウェイ劇でリーガンが演じる元恋人に復縁を迫る男、仕事と私生活の再起をかける本作の主人公リーガン、そして、本作でリーガンを演じるマイケル・キートン自身の姿が重なって見えてくるようなストーリーで、ハリウッド映画もアメコミヒーローもケチョンケチョンな扱いをされている。ところが本作自体もちろんハリウッド映画であり、リーガン役のマイケル・キートンは「バッドマン」、マイク役のエドワード・ノートンは「インクレディブル ハルク」、サム役のエマ・ストーンも「アメイジング・スパイダーマン」のヒロイン役と、3人ともアメコミヒーロー映画に出演している。そして彼らは本作でそれぞれアカデミー賞にノミネートされ、ハリウッドをけなしつつも本作はアカデミー賞作品賞その他、ものすごい数の賞を受賞するという快挙を成し遂げた。ある意味、ハリウッド映画の計り知れない懐の深さを感じる作品である。

birdman4.jpg リーガンのそばには時折、昔演じた“バードマン”が長年の相棒のように出現し、ドッキリわくわくさせてくれるシーンもある。だがそこからは、リーガンが相当追い詰められていることも感じられるのだ。 彼はブロードウェイで羽ばたくことができるのか? それとも終わってしまうのか? どんどん大変なことになっていく。長回しでずっと切れ目がないように感じられる本作、特にラストの窓のシーンは重要なので、画面から目を離さず注意してご覧頂きたい。

仕事一筋のお父さん、どうか、お仕事頑張ってください。誰もがあなたの価値を分かっていないが、私は心から尊敬し応援していますよ。そう言いたくなるブラック・コメディ。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 20:05| Comment(0) | TrackBack(10) | 超お薦め映画作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする